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骨粗鬆症(こつそしょうしょう)

2018年5月25日掲載

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糖尿病の方は、そうでない方と比べて骨折の危険が大きいと言われています。
ここでは、糖尿病と骨の病気についてお話します。

目次

糖尿病があると骨折しやすいの?

はい、糖尿病の方とそうでない方を比べた研究では、1型糖尿病の方で3~7倍、2型糖尿病の方で1.3~2.8倍も骨折しやすいということが分かっています。

骨の構造は、言わば鉄筋コンクリートの建物のような構造になっています。
建物の強さは内部にある鉄筋の構造と、それを囲むコンクリートの丈夫さで決まります。これと同じように、骨の強さ(これを骨強度といいます)は鉄筋のような働きをする骨質と、それを補強するコンクリートのような働きをする骨密度の2つで構成されます。

   建物の強さ=鉄筋+コンクリート
   骨強度=骨質(骨の構造や、骨を形作る材料の特性)+骨密度(カルシウムなどのミネラル)

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骨質は、骨の構造が良い構造かどうか、材料に良い材質が使われているかどうかで決まります。また、骨密度はカルシウム・リン・マグネシウムなどのミネラル成分の量で決まります。骨の構造やそれに使用される材料が劣化していたり、骨密度が減って強度が低下したりすると、骨折しやすい状態、いわゆる骨粗鬆症になります。

糖尿病の方の骨折では、骨の構造を支える骨質の劣化が特徴的です。これには高血糖による酸化ストレス(注)やインスリン抵抗性が悪影響を与えていると言われています。
また、神経障害で足底の感覚が鈍かったり、網膜症で視力が低下していたりすると転びやすくなります。高齢の方の場合は筋力が低下していることもあり(これをサルコペニアといいます)転倒して骨折につながりやすくなります。

骨強度が低下する要因

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  • 糖尿病
  • ビタミンD・ビタミンKの不足
  • 加齢
  • 閉経後の女性ホルモン(エストロゲン)の減少

転びやすい原因

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  • 神経障害
  • 網膜症
  • サルコペニア(加齢に伴う筋力低下)
(注)酸化ストレス:高血糖や紫外線、タバコ、薬剤などさまざまな理由で酸素が活性化して体の細胞を傷つけることがあり、これを酸化ストレスと言います。酸化ストレスは骨粗鬆症だけでなく、老化や癌、動脈硬化などにつながると言われています。
詳しくお知りになりたい方は、下記をご覧ください。

e-ヘルスネット 活性酸素と酸化ストレス(外部サイトにリンクします)

骨折を予防するにはどうしたらよいの?

糖尿病治療と生活習慣の見直しをしましょう

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まずは、糖尿病の治療をしっかり行いましょう。カルシウムを含んだバランスの良い食事をとります。また、適度な日光浴と運動は、骨を丈夫にします。
骨粗鬆症がすすんで骨折のリスクが特に高い方の場合は、骨折を予防する骨粗鬆症治療薬を使用することもあります。

糖尿病をおもちの方も血糖コントロールを良い状態にすることで骨折を防ぐ効果があると言われます。これまでの研究では、HbA1cが7.5%以上の2型糖尿病の方では糖尿病がない方と比較して骨折リスクが1.47倍と高い一方で、HbA1cが7.5%未満の2型糖尿病の方の骨折リスクは糖尿病がない方と同程度だったという報告があります。

骨粗鬆症の治療

わずかな外からの衝撃で骨が折れることをぜい弱骨折といい、骨粗鬆症の方に特徴的です。ぜい弱骨折の場所は、椎体骨(背骨)・大腿骨近位部・下腿骨・橈骨遠位端(手首周辺)・上腕骨近位端(腕の付け根)などがあります。

  • ぜい弱骨折がある
  • 骨密度が著しく低い
  • 骨密度が低めで、糖尿病になって長期間経過している、血糖コントロールが悪い、2型糖尿病でインスリン治療を必要とするような状況にある

上記にあてはまる方は骨粗鬆症の治療薬を開始した方が良い場合があります。
主治医と相談しましょう。

骨折に影響がある糖尿病の薬がありますか?

はい、骨折に影響すると言われる糖尿病薬があります。
一般的に、どんなお薬でも治療に関わる良い面と、気をつけなければならない面があります。
骨折に影響するかもしれない薬は、血糖コントロールを低下させるメリットと、骨折のリスクのデメリットを総合的に判断して使用します。疑問がある場合は主治医の先生とよく相談しましょう。

チアゾリジン薬という薬は骨髄間質細胞の脂肪細胞への分化を促進し、骨芽細胞への分化を抑制します。これまでの研究で、特に閉経後の女性へのチアゾリジン薬使用により、骨折リスクが上昇したと報告されています。そのため、チアゾリジン薬を使用する時には骨密度や骨折の既往を確認し、骨折リスクが高い方には注意します。

参考文献

日本糖尿病学会 編著:糖尿病診療ガイドライン2019. 南江堂, 2019
骨粗鬆症の予防と治療ガイドライン2015年版

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