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うつ病

2015年10月27日掲載2016年6月8日改定版掲載

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糖尿病患者さんはそうでない方とくらべて、うつ病になりやすいと言われています。
ここでは、糖尿病とうつ病の関係についてお話しいたします。

目次

糖尿病とこころの不調

糖尿病と診断されることや、糖尿病の治療を始める、続けてゆくなどの、糖尿病との関わり合いのなかで、患者さんはさまざまな感情を経験します。

  • 「どうして私が!」という怒り
  • 「そんなはずはない」という否認
  • 合併症や治療薬に対する恐れ
  • 病気になったことへの罪悪感
  • ディストレス「つらい」「苦しい」
    (苦悩、悲嘆など、ストレスにうまく対処できないことに伴うこころの不調)
  • そして、気分の落ち込み。

糖尿病とともに歩むなかで、こういった負の感情を感じることは当たり前のことです。

多くの場合は一時的に、または短期的にこころの不調にみまわれることがあっても、やがて回復してゆきます。しかし、なかには何週間にもわたって心の不調に悩まされる方もいらっしゃいます。そんな時、「うつ病」の可能性を考えてみることは、とても大切です。

調査によると、日本人の約15人に1人が、一生のうちに1回はうつ病になると報告されています。うつ病は、いわゆる糖尿病の合併症ではありませんが、糖尿病のある方では糖尿病でない方と比べて、何らかの抑うつ症状を有する人が約2倍程度多いと言われています。さらに糖尿病のある方の約10%が、医療機関で専門的に治療を受ける必要があるうつ病にかかっているといわれています。

「糖尿病とこころ」についての読み物

うつ病の症状

うつ病は、誰もが経験したことのある『気持ちの落ち込み』とは区別して考える必要があります。あなたは次のような症状を経験したことはないでしょうか。

うつ病の症状

  • 気分が落ち込む
  • これまで楽しめていた行為・活動に対する興味がなくなったり、喜びを感じなくなったりする
  • 食事療法をしているわけではないのに食欲や体重が変化する
  • 眠れない、または途中で目が覚めるなど、睡眠に困難を感じる。または逆に眠りすぎる
  • 周囲の方から「落ち着きがなく、よく動き回るね」または逆に「動作が遅くなった」と指摘される
  • 自分に価値がないと考えたり、罪悪感を覚えたりする
  • 集中力や考える力が落ちる
  • 死にたいと思ったり、自分自身を傷つける方法を考えたりする

うつ病の症状

ここに挙げた「気持ち」、「考え」、「行動」のいくつかが1日中、2週間以上にわたって続いているようであれば、うつ病である可能性があります。うつ病ではないだろうかと思われる場合には、かかりつけの主治医に相談したり、周囲の信頼できる方に相談したりする事が大切です。

上記の状態以外にも、糖尿病のある方で次のような状況にある場合には、こころの問題への配慮が必要だと考えられています。
  • 糖尿病と診断された時
  • 治療法が強化された時、特にインスリン治療の開始時
  • 重症の合併症を発症した時
  • 血糖コントロールがきわめて不良または不安定な時

うつ病について、さらに詳しい情報をご希望の方や、セルフチェックをしてみたいという方は、厚生労働省のサイトを参考にしてください。

「うつ病」についての詳しい説明

厚生労働省 知ることからはじめよう みんなのメンタルヘルス(外部サイトにリンクします)

5分でできる職場のストレスセルフチェック

厚生労働省 働く人のメンタルヘルスポータルサイト「こころの耳」(外部サイトにリンクします)

働く人のメンタルヘルスポータルサイト「こころの耳」

糖尿病の方はうつになりやすい?

これまでの調査で、糖尿病のある方は、糖尿病のない方と比較してうつ病になりやすいと考えられています。

なぜ糖尿病のある方がうつ病になりやすくなるのか、その理由は、まだすべてが明らかにされたわけではありません。

従来は、糖尿病と診断されることや糖尿病の治療(これまでの生活習慣を変えなければならなかったり、インスリン治療を始めなければならなかったりすることなど)、合併症の発症・進行などに伴うこころやからだの苦痛のために、糖尿病のある方はうつ病になりやすくなるのではないかと考えられてきました。最近では、糖尿病とうつ病の間にはよりさまざまな要因が関与する、複雑な関係があるのではないかと考えられるようになってきています。

糖尿病にうつ病が合併すると

糖尿病のある方がうつ病になると、どうして問題なのでしょうか。

うつ病になると、こころの面だけでなく、からだの面にも症状が出てきます。例えば、ホルモンや自律神経など、からだの働きを調節するさまざまな機能に不具合が生じます。このうち、糖尿病に関係する変化として、インスリンの作用が弱くなる(インスリン抵抗性)と考えられています。

そればかりではなく、うつ病になると意欲や集中力が低下し、予約どおりに通院したり、お薬を定められたとおりに服用するといった糖尿病の治療に必要な行動が行えなくなったり、健康的な食生活や身体活動量を保つことが困難になったりします。その結果、糖尿病をよりよくコントロールすることが難しくなる場合も少なくないのです。

このような状態が長期間続くと、高血糖や低血糖のために緊急に医療機関を受診する機会が増えたり、糖尿病の合併症がすすみやすくなったりします。さらには健康なからだを維持していられる期間(健康寿命)が短くなったり、医療費の負担が増加したりするとも言われています。

糖尿病のある方ではからだの健康に加えてこころの健康にも気を配ることが大切なのです。

うつ病の治療

うつ病を併発した糖尿病のある方の治療法として、精神科での抗うつ薬を用いた治療、認知行動療法などの心理学的な治療、両者を併用した治療が、うつ病の症状の改善だけではなく血糖値の改善にも効果があるかどうかを検討した研究が行われています。

これまでのところ、どの治療法を選択するのが最もよいのかについてのはっきりとした結果は得られていません。

うつ病の治療

精神的な健康が保たれていることは糖尿病を治療するうえで非常に重要なことです。精神科の受診歴がなく、受診が必要だと判断される糖尿病の方に対しては、適切に精神科を受診していただくようお勧めさせていただくこともあります。

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