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がん

2015年10月27日掲載2016年6月8日改定版掲載, 2021年1月28日再改定版掲載

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糖尿病がある方は、神経障害、網膜症、腎症などの細小血管症以外にも、心筋梗塞、狭心症、脳梗塞、末梢動脈疾患などの大血管症を合併することが知られています。(糖尿病の慢性合併症について知っておきましょう)。
糖尿病はこれらの合併症以外にも、がんをはじめとする多くの病気と関係していることが報告されています。糖尿病とがんの関係を検討するために、日本糖尿病学会と日本癌学会が合同で専門家による委員会を設立しました。ここでは、この委員会報告を中心に、糖尿病とがんの関係や糖尿病でがんのリスクが高くなる理由、がん検診の重要性について紹介します。

糖尿病とがん、2つの病気を治療される方は、糖尿病とがん、2つの治療をされる方へもご覧ください。

目次

糖尿病とがんの関係

糖尿病(主に2型糖尿病)は、日本人では大腸がん、肝臓がん、膵臓がんのリスク上昇と関連しています

国内外で発表された研究によると、糖尿病(主に2型糖尿病)がある方は、がんリスクが20%ほど高いことが報告されています。日本人では特に大腸がん、肝臓がん、膵臓がんのリスクが高いとされています。海外ではその他に、子宮内膜がん、乳がん、膀胱がんなどのリスク上昇と関係があるといわれています。一方で、糖尿病があると(なかでも肥満がある場合)前立腺癌のリスクは低くなるといわれています。

糖尿病がない方の場合、健康的な食事や、運動、体重管理、禁煙、節酒は、2型糖尿病およびがんの予防につながる可能性があります

2型糖尿病、がんは両方とも生活習慣と密接に関係している病気です。予防のためには、健康的な食事、運動、体重管理、禁煙、節酒が大切です。

糖尿病がある方にとっても、食事療法、運動療法、禁煙、節酒は、がんの予防につながる可能性があります

不適切な食事、身体活動量の低下、肥満、喫煙、過剰飲酒は多くのがんの危険因子です。そのため、健康的な食事、運動、体重管理、禁煙、節酒はがんの予防につながる可能性が指摘されています。糖尿病がある方でも、食事療法、運動療法、禁煙、節酒は血糖コントロールの改善だけでなく、がんの予防につながる可能性があります。

がんリスクと糖尿病の薬の使用が関係している可能性がありますが、一定の結論は出ていません

糖尿病の薬のいくつかは、がんのリスクになるかもしれないという報告があります。しかし、特定の糖尿病の薬とがんの関係について、現時点ではっきりした結論は得られていません。糖尿病の薬を使用されている方は、治療を継続して血糖値をコントロールすることが大切です。

薬について心配のある方は、主治医とよく相談をしましょう。

なぜ糖尿病だとがんのリスクが高くなるの?

まだ糖尿病自体ががんの原因となるかどうかについてはわかっていませんが、仮に糖尿病ががんリスクを高めているとしたら、いくつかの理由が考えられます。

糖尿病がある方でがんリスクが高まる理由としては、血液中のインスリン濃度が高いこと、血糖値が高いこと、炎症などが考えられています

血液中のインスリン濃度が高いこと

2型糖尿病がある方の多くは、インスリンが効きにくくなっているために血液中のインスリン濃度が高くなっています。血液中の過剰なインスリンは発がんに関与する可能性があると考えられています。ただし、インスリン注射により発がんが増えることは否定されています。

血糖値が高いこと

高血糖そのものによる酸化ストレスなどが発がんに関係する可能性があるといわれています。

炎症

2型糖尿病がある方では、無症状ですが全身に慢性的な炎症がみられることがあります。慢性の炎症は、発がんのリスクになると考えられています。

一方で糖尿病とがんは、加齢、肥満のほか、不適切な食事(赤肉・加工肉の過剰摂取、野菜・果物・食物繊維の摂取不足)、身体活動量の低下、喫煙、過剰飲酒といった生活習慣を危険因子とする点で共通しています。このことが、疫学研究などで糖尿病患者におけるがんリスク上昇がみられる理由である可能性が指摘されています。

糖尿病がある方におけるがんの予防、早期発見のために

がんは早期に発見することが重要です。

現在、厚生労働省では、「がん予防重点健康教育及びがん検診実施のための指針」を定め、胃、子宮頚部、乳房、肺、大腸についてのがん検診を推奨しています。これらは、糖尿病の有無にかかわらず推奨されているものです。自分の住む地域のがん検診の予定を確認し、検診を受けましょう。

表1:指針で定めるがん検診の内容
種類 検査項目 対象者 受診間隔
胃がん検診 問診に加え、胃部エックス線検査又は胃内視鏡検査のいずれか 50歳以上
※当分の間、胃部エックス線検査については40歳以上に対し実施可
2年に1回
※当分の間、胃部エックス線については年1回実施可
子宮頸がん
検診
問診、視診、子宮頸部の細胞診及び内診 20歳
以上
2年に
1回
肺がん検診 質問(問診)、胸部エックス線検査及び喀痰細胞診 40歳
以上
年1回
乳がん検診 問診及び乳房エックス線検査(マンモグラフィ)
※視診、触診は推奨しない
40歳
以上
2年に
1回
大腸がん検診 問診及び便潜血検査 40歳
以上
年1回

厚生労働省:がん検診「市町村のがん検診の項目について」
(最終閲覧日:2021年1月27日)

がん検診についての詳しい情報

国立がん研究センター:がん情報サービス「がん検診 まず知っておきたいこと」(外部サイトにリンクします)

ご自分でがんのリスクチェックができるサイト

ご自分でがんのリスクチェックができるサイト
国立がん研究センター:がんリスクチェック(外部サイトにリンクします)

参考文献

糖尿病と癌に関する委員会:糖尿病と癌に関する委員会報告. 糖尿病 56: 374, 2013
日本糖尿病学会 編著:糖尿病診療ガイドライン2019. 南江堂, 2019

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