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血糖値を下げる飲み薬

更新・確認日:2024年10月24日掲載日:2016年7月7日

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血糖値を下げる薬には、飲み薬(経口薬)と注射薬があります。
ここでは、血糖値を下げる飲み薬について詳しく説明します。

血糖値を下げる薬について、
薬で血糖値が下がるしくみ
血糖値を下げる注射薬
血糖自己測定について
もご覧ください。

目次

血糖値を下げる飲み薬の種類

糖尿病の飲み薬は、その作用から大きく分けて3つに分類することができます。

インスリンを出しやすくする薬
(膵臓に働きかけインスリンを出させる、インスリン分泌低下を補う薬)

インスリンを効きやすくする薬
(インスリンを効きやすくする、インスリン抵抗性を改善する薬)

糖の吸収や排泄を調節する薬
(食べ物の糖の吸収をゆっくりにして血糖の急な上昇を抑える、または、からだに取り込んだ糖を尿中に出させる)

これに加え、
配合薬(異なる作用をもつ複数の薬を合わせた薬)もあります。

下の図は、飲み薬がからだの中でどのように効果を現すかを示しています。

図:血糖値を下げる飲み薬のはたらくところ

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それぞれの種類の飲み薬について、詳しくみていきます。

本サイトでは薬についてのすべての情報が記載されているわけではありません。
使用中の薬についての詳細は、主治医、薬剤師、医療スタッフに確認しましょう。糖尿病以外にも病気がある方、妊娠中の方は特に注意が必要です。使用中の薬に対する不安、不明な点がある場合であっても自己判断で中止せず、まずはご相談ください。

また、薬についての詳しい情報を知りたい方は、患者向医薬品ガイド」(独立行政法人 医薬品医療機器総合機構)(外部にリンクします)もご参照ください。

※薬品名の記載は、一般名(商品名)で記載しています。また、後発医薬品など、一部未掲載のものもあります。

インスリンを出しやすくする薬

膵臓のβ細胞(べーたさいぼう)に働きかけてインスリンを出します。インスリン分泌不足を補う薬です。

スルホニルウレア薬(SU(エスユー)薬)

一般名
(商品名)

グリベンクラミド(オイグルコン)、グリクラジド(グリミクロン)、グリメピリド(アマリール)など

作用

膵臓のβ細胞を刺激してインスリンの分泌を促進することで血糖値を下げます。

主な副作用

低血糖、体重増加など

速効型インスリン分泌促進薬(グリニド薬)

一般名
(商品名)

ナテグリニド(ファスティック、スターシス)、ミチグリニドカルシウム水和物(グルファスト)、レパグリニド(シュアポスト)など

作用

内服後すぐから効き始め、短時間で作用してインスリン分泌を促進し、血糖値を下げます。

主な副作用

低血糖など

特徴

SU薬に比べて吸収と血中からの消失が速い薬です。食後の高血糖の是正に適しています。

飲み方

食事の直前(5~10分程度前)に服用します。

DPP-4(ディーピーピーフォー)阻害薬

一般名
(商品名)

毎日内服する製剤
シタグリプチンリン酸塩水和物(ジャヌビア、グラクティブ)、ビルダグリプチン(エクア)、アログリプチン安息香酸塩(ネシーナ)、リナグリプチン(トラゼンタ)、テネリグリプチン臭化水素酸塩水和物(テネリア)、アナグリプチン(スイニー)、サキサグリプチン水和物(オングリザ)

週1回内服する製剤
トレラグリプチンコハク酸塩(ザファテック)、オマリグリプチン(マリゼブ)

作用

膵臓に作用するインクレチンというホルモンの分解を抑制し、その作用を助けます。インクレチンは血糖値が高いときにインスリンの分泌を促すとともに、血糖値を上げるホルモンのひとつであるグルカゴン分泌を抑制し、血糖を下げます。

主な副作用

低血糖、便秘など
スルホニルウレア薬(SU薬)をすでにお飲みの方でこの薬を飲む場合は、低血糖に特に注意が必要です。
インクレチン関連薬と低血糖

特徴

血糖値を下げる作用はブドウ糖の濃度に依存するため、単独の使用では低血糖となる可能性が少ない薬です。体重が増加しにくい薬です。

GLP-1(ジーエルピーワン)受容体作動薬

一般名
(商品名)

セマグルチド(リベルサス)

作用

膵臓のβ細胞(べーたさいぼう)のGLP-1受容体に結合し、血糖値が高いときにインスリンの分泌を促すとともに、血糖値を上げるホルモンのひとつであるグルカゴン分泌を抑制し、血糖を下げます。

主な副作用

食欲不振、吐き気、便秘、下痢など
スルホニルウレア薬(SU薬)をすでにお飲みの方でこの薬を飲む場合は、低血糖に特に注意が必要です。
インクレチン関連薬と低血糖

特徴

血糖値を下げる作用はブドウ糖の濃度に依存するため、単独の使用では低血糖となる可能性が少ない薬です。体重減少効果も期待できます。

飲み方

1日の最初の食事や飲水の前に空腹の状態で服用します。服用時は120mL以下の水で服用します。服用後30分は食事や飲水はできません。

グリミン系

一般名
(商品名)

イメグリミン塩酸塩(ツイミーグ)

作用

ミトコンドリア作用を介して2つの方法で血糖を下げます。
1)膵β細胞で血糖値が高いときにインスリン分泌を促す。また、膵β細胞を保護する。
2)肝臓・骨格筋での糖代謝を改善する(糖新生抑制・糖取り込み能改善によるインスリン抵抗性改善)。

主な副作用

悪心、下痢、便秘、低血糖など
スルホニルウレア薬(SU(エスユー)薬)をすでにお飲みの方でこの薬を飲む場合は、低血糖に特に注意が必要です。
※ビグアナイド薬と作用機序の一部が共通している可能性があるので両剤を併用した場合、他の薬剤との併用時に比べ消化器症状がでやすくなります。

特徴

血糖値を下げる作用とインスリン抵抗性を改善する作用があります。血糖値を下げる作用はブドウ糖の濃度に依存するため、単独の使用では低血糖となる可能性が少ない薬です。


インスリンを効きやすくする薬

インスリン抵抗性を改善します。

ビグアナイド薬

一般名
(商品名)

ブホルミン塩酸塩(ジベトス)、メトホルミン塩酸塩(メトグルコ、グリコラン)など

作用

肝臓から糖の放出を抑える、インスリンに対するからだの感受性を高めるなどの作用により、血糖値を下げます。

主な副作用

食欲不振、吐き気、便秘、下痢など
※高齢者、ほかの病気のある方は副作用が重く出ることがあります。
※造影剤を使用する検査を受ける前はいったん中止します。
※たくさんお酒を飲む場合はこの薬は使えません。
ビグアナイド薬を服用しているかたへ

特徴

単独の使用では低血糖となる可能性が少ない薬です。体重が増えにくい薬です。

チアゾリジン薬

一般名
(商品名)

ピオグリタゾン塩酸塩(アクトス)

作用

インスリンに対するからだの感受性を高めることで血糖値を下げます。

主な副作用

むくみ、急激な体重増加など

特徴

単独の使用では低血糖となる可能性が少ない薬です。

グリミン薬

一般名
(商品名)

イメグリミン塩酸塩(ツイミーグ)

作用

ミトコンドリア作用を介して2つの方法で血糖を下げます。
1)膵β細胞で血糖値が高いときにインスリン分泌を促す。また、膵β細胞を保護する。
2)肝臓・骨格筋での糖代謝を改善する(糖新生抑制・糖取り込み能改善によるインスリン抵抗性改善)。

主な副作用

悪心、下痢、便秘、低血糖など
スルホニルウレア薬(SU薬)をすでにお飲みの方でこの薬を飲む場合は、低血糖に特に注意が必要です。
※ビグアナイド薬と作用機序の一部が共通している可能性があるので両剤を併用した場合、他の薬剤との併用時に比べ消化器症状がでやすくなります。

特徴

血糖値を下げる作用とインスリン抵抗性を改善する作用があります。血糖値を下げる作用はブドウ糖の濃度に依存するため、単独の使用では低血糖となる可能性が少ない薬です。


糖の吸収や排泄を調整する薬

食べた糖を消化管でゆっくり吸収させて食後血糖の急な上昇を抑える薬や、からだに取り込んだ余分な糖を尿中に出す薬があります。

α-グルコシダーゼ阻害薬(α-GI:アルファー・ジーアイ)

一般名
(商品名)

アカルボース、ボグリボース(ベイスン)、ミグリトール(セイブル)など

作用

小腸からの糖分の消化・吸収を遅らせて食後の高血糖を抑えます。

主な副作用

お腹の張り、おならの増加、下痢など

特徴

単独の使用では低血糖となる可能性が少ない薬です。体重が増えにくい薬です。

飲み方

食事の直前(5~10分程度前)に服用します。

注意事項

糖の吸収を抑制する薬であるため、砂糖などの二糖類は吸収するのに時間がかかり低血糖の対応が遅くなってしまいます。そのため、この薬を飲んでいる方が低血糖のときには必ず「ブドウ糖」を服用します。(低血糖

SGLT2(エスジーエルティーツー阻害薬

一般名
(商品名)

イプラグリフロジンL-プロリン(スーグラ)、ダパグリフロジンプロピレングリコール水和物(フォシーガ)、ルセオグリフロジン水和物(ルセフィ)、トホグリフロジン水和物(デベルザ)、カナグリフロジン水和物(カナグル)、エンパグリフロジン(ジャディアンス)

作用

血液をろ過して尿を作る臓器は腎臓です。血液は尿が作られる過程で、腎臓にある「糸球体」というザルのようなところでろ過され原尿(尿のもと)が作られます。血液中の糖はこの糸球体をすり抜けて、原尿に排泄されます。糖はからだにとって必要なものであるため、一度は原尿に排泄されるものの、通常は尿細管という通路を通る際に再び取りこまれて血液中に戻されます。SGLT2阻害薬はこの尿細管から血液中へのブドウ糖の再取込みを妨げ、尿の中に糖を出して血糖を下げます。

主な副作用

低血糖、尿路・性器感染、脱水、頻尿、皮膚症状など
※高齢者、体調の悪いとき、脱水になりやすい状態のときには上記以外の重い副作用も出ることがあります。

特徴

インスリン分泌と直接関係しないため、単独の使用では低血糖となる可能性が少ない薬です。


配合薬

異なる作用を持つ複数の薬を合わせた薬を配合薬と呼びます。

一般名
(商品名)

ピオグリタゾン塩酸塩+メトホルミン塩酸塩(メタクト配合錠LD/HD)、ピオグリタゾン塩酸塩+グリメピリド(ソニアス配合錠LD/HD)、アログリプチン安息香酸塩+ピオグリタゾン塩酸塩(リオベル配合錠LD/HD)、ミチグリニドカルシウム水和物+ボグリボース(グルベス配合錠)、ビルダグリプチン+メトホルミン塩酸塩(エクメット配合錠LD/HD)、アログリプチン+メトホルミン塩酸塩(イニシンク配合錠)、アナグリプチン+メトホルミン塩酸塩(メトアナ配合LD/HD)、テネリグリプチン臭化水素酸円水和物+カナグリフロジン水和物(カナリア配合錠)、シタグリプチンリン酸塩水和物+イプラグリフロジンL-プロリン(スージャヌ配合錠)、エンパグリフロジン+リナグリプチン(トラディアンス配合錠AP/BP)

作用

配合されているそれぞれの薬に応じる

主な副作用

配合されているそれぞれの薬に応じる

特徴

飲む薬の数が減ることで、薬が飲みやすくなることが期待されています。

ご自身の薬については、主治医や担当の医療スタッフとよく確認しましょう。
血糖値を下げる薬を使用している方は低血糖に注意が必要です。低血糖の症状やいざというときの対処方法を知っておきましょう。詳しくは「低血糖」、「血糖自己測定について」をご覧ください。

血糖値を下げる薬について、
薬で血糖値が下がるしくみ
血糖値を下げる注射薬
血糖自己測定について
もご覧ください。

参考文献

  • 日本糖尿病学会 編著:糖尿病治療ガイド2022-2023. 文光堂, 2022
  • 独立行政法人 医薬品医療機器総合機構:患者向医薬品ガイド

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