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働く世代と糖尿病

2017年6月29日掲載2020年3月17日改訂版掲載

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働くことはお金を得るだけでなく、社会とのかかわりを持つ、自分らしい生き方を実現する、社会貢献をするという点においても重要なことです。「働く世代」が糖尿病といわれた場合、どうしたらよいのでしょうか。
ここでは、糖尿病の方が働きやすく社会生活を送る工夫についてお話しします。
(1型糖尿病の方は、働き盛りの1型糖尿病の方へもあわせてご覧ください。)

目次

就職にあたって

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血糖コントロールが良好に保たれていれば、職業選択の幅はとても大きいものとなります。実際に糖尿病がありながら、プロのスポーツ選手や一国の首相になった人もいます。

原則として、糖尿病があることを理由に職業が制限されることはありません。雇用者の立場からみても、原則的に、糖尿病があるだけで就職を拒否してはいけません。

ただし、糖尿病の症状に以下のものがある場合は、注意が必要です。

  1. 血糖コントロールが良好でない場合
  2. 重度な合併症がある場合
  3. 薬物療法をしている方で、低血糖のおこるおそれがある場合、特に「無自覚性低血糖」の可能性がある場合
  4. 糖尿病の重い合併症がある場合

このような場合、意識を失って本人や周りの人に危険が及ぶ可能性があるため、就職できないケースがあります。雇用者には従業員の安全と健康に配慮する義務があり、また業務上で他人を傷つけないように注意する義務があるためです。公共交通機関の運転手や飛行機のパイロット、高所での作業を伴う職業、潜水士などがその例です。

就職にあたっては、就職先の状況について情報を集めた上で、これらの視点から自分が業務を支障なく行うことができるかどうか検討することが重要です。また、採用前に糖尿病であることを伝えるかどうかは、よく考える必要があります。自分の体調が崩れることで自分や他人が傷つく可能性のある業務の場合は、糖尿病の状態(インスリンの使用、低血糖の頻度など)によっては伝えるほうがよいかもしれません。一方で、血糖値が落ち着いており低血糖の危険がない病状で、業務が事務職などの場合は、糖尿病が業務に与える影響はほとんどないと考えて、伝える必要はないかもしれません。

入職後は血糖や尿糖の測定を含めた健康診断を行うことが雇用者に義務付けられています。その結果、本人の健康確保や他人の安全のために必要な場合は、産業医が職場変更などの勧告を出し、それに伴って業務が変更になる場合もあります。

働く中で気を付けること

働き盛りの方は、多忙な仕事と並行して、食事療法や運動療法、薬物療法などの自己管理を続ける必要があります。そのため、初めて糖尿病といわれた方や、血糖コントロールが悪くなった方、治療法が変わった方などは、仕事と治療をうまくやっていけるか不安に思われるかもしれません。働く上での注意点や工夫を考えてみましょう。

通院を続けましょう

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糖尿病の治療は、定期的な通院と治療の継続が必要となります。多くの病院や診療所は平日の日中が診療時間となっており、通院が難しいと感じることがあるかもしれません。しかし、通院を中断すると薬が途切れることになってしまったり、血糖コントロールや合併症の状態がわからないまま病状が悪化してしまったりする可能性があります。

医師や看護師と、受診しやすい日時や受診間隔についてよく相談しましょう。また、業務内容や仕事のスケジュールについても共有して、自分の生活に合った、負担の少ない治療が行えるように相談しましょう。

場合によっては、主治医と産業医が連絡を取り合って、適切な業務内容や糖尿病の自己管理について相談することもあります。

産業医や産業保健師に相談しましょう

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産業医や産業保健師は、自分の病気の状態と仕事との折り合いをつける上で、よい相談相手になります。産業医は、前述のように本人の健康確保や他人の安全のために必要な場合には、職場変更や深夜業務の禁止などの勧告を出すことがあります。健康診断の結果で血糖値が高かった場合の相談や、職場の上司や同僚との調整役を果たしてくれることもあります。

産業医や産業保健師がいない職場の場合には、主治医や看護師と相談しましょう。

職場の中に支援者を見つけましょう

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糖尿病の状態によっては、職場の信頼できる方に糖尿病のことを伝えておくことを勧めます。特に、低血糖のおそれのある方は、身近な人に糖尿病や低血糖について理解してもらい、いざというときに対処してもらえると安心です。

長期にわたり糖尿病を治療する上で、血糖のコントロールが難しい時期もあるでしょう。そのようなときに、生活が不規則となりやすい残業や出張を一時的に調整可能なように上司や同僚と相談できるとすれば、それはとても助かることです。
また、職場の実情や業務内容を考慮し、糖尿病の病状や治療が業務に支障をきたす場合は職場の方とよく相談しましょう。

職場における血糖コントロールの工夫

職場における食事量や食事のタイミング、運動の頻度、糖尿病の薬を使用するタイミングなどを時々振り返りましょう。主治医と相談して、仕事の状況に合った方法を考えます。

食前に使用する糖尿病の飲み薬やインスリンを使用している方は、食事の量や薬のタイミングに気を付けることが血糖値の変動を小さくするのにとても重要です。薬の服用の工夫については、糖尿病の薬とうまくつきあっていくためにもご覧ください。また、からだを動かす仕事の方は、どんなときに血糖値が下がりやすいかを確認しておきましょう。

インスリンで治療をされている方の場合は、職場の一部の方に、自分の糖尿病のことを伝えておくと、インスリンの注射や血糖測定などをしやすくスムーズに治療を継続することができます。

職場の付き合い・接待などでの工夫

飲み会や会合の場面での食事や飲酒の仕方に悩んでいる方も多いようです。アルコールは適量にとどめることが原則ですが(血糖コントロールが悪い場合や肝疾患など合併症のある場合には禁酒を指示されることもあります)、勧められたお酒を断ると、その場の雰囲気が悪くなってしまうと考えて無理される方もいるでしょう。
お酒を無理に強要してはいけないのは当然のことですが、いざお酒を勧められたときに断ることのできるスタンスを持っておきましょう。

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お酒の断り方のポイント
  1. 医者にアルコール制限されていると話す
  2. 飲ませる人のそばに出来るだけ近寄らない
  3. お酒を注ぐ係に徹する
  4. 車で来ている、車に乗る予定があると言う

家族や会社、周囲のサポート

サポートしてくれる家族・知人を見つけましょう

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1人では挫けそうなときでも、協力し支えてくれる家族や仲間がいれば、乗り切れることがたくさんあります。

糖尿病の治療でとても重要な「食事」。糖尿病食は健康食でもあります。患者さんだけでなく家族や友人の生活習慣を見直すきっかけにもなります。

1人では続けられない運動も、一緒に運動を行ってくれる仲間がいれば楽しくなり、長く継続することができるでしょう。

参考文献

日本糖尿病学会 編著:糖尿病治療ガイド2020-2021. 文光堂, 2020
相磯嘉孝:糖尿病に克つ生活読本. 主婦と生活社, 2006
プラクティス32巻3号 2015 医歯薬出版株式会社

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