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糖尿病の薬とうまくつきあっていくために
2019年9月5日掲載
血糖値を下げる薬は正しく使用することが大切ですが、飲み方を間違えたり飲むことを忘れたりすることもあるでしょう。
ここでは、そのような困った状況を避けて糖尿病の薬をうまく続けるための工夫についておはなしします。
飲み薬を中心におはなししますが、注射薬についても同様の工夫ができますので、参考にしてください。
目次
薬の種類・回数が多い場合
複数の診療科を受診される場合は、薬の種類が増えて間違いが起きやすくなります。かかりつけの調剤薬局で、他の科で処方された薬もまとめて1つの袋に入れてもらう「一包化調剤」をしてもらうこともできますので相談してみましょう。
(具合が悪くて食事量が安定しない方などは、食事に応じて血糖を下げる薬の有無や用量を変える場合があります。そのような場合は、血糖を下げる薬のみ一包化せずに分けてもらう工夫もできます。)
薬の種類が多くて困っているときには、その旨を医師に伝え、場合によっては合剤に変えたり種類を減らしたりすることを検討してもらうのもよいでしょう。
薬を飲むタイミングがそれぞれ異なると、つい飲み忘れたり飲み間違えたりしてしまうことがあるかもしれません。自分が最も飲み忘れない時間帯に内服のタイミングをそろえることが可能か、薬剤師や医師に相談してみましょう。特に、食直前に飲む薬がある場合には、食後に出ている薬もまとめて食直前に内服することが可能か、薬剤師や医師に相談してみましょう。
薬を飲むことを忘れてしまう場合
忘れてしまう理由をよく考えて、対策を立てましょう。例えば、以下のような工夫で解決できるかもしれません。- 内服する時間に時計や携帯のアラームをセットする(スマートフォンのアプリで投薬を促すものもある)。
- 食事のタイミングに合わせて飲む薬は、食事を準備する段階で薬を食卓に出しておく。
- 外出先に持参しなかったために飲めないことがある場合は、職場に用意する、またはいつも使用しているカバンなどに数回分の薬を入れておく。
薬は決められたタイミングで内服することが原則ですが、飲み忘れが起きてしまった場合にどう対応するのがよいか、あらかじめ薬剤師や医師に相談しておくのもよい方法です。例えば、朝に飲み忘れてしまった場合に、昼に飲んだほうがよいのか、それともその日は飲まないで翌朝に飲んだほうがよいのかなど、前もって相談しておくと安心です。
糖尿病の薬には、1週間に1回使用する薬もあります。そのような薬の場合も、投薬を忘れた場合はどうすればよいか確認しておきましょう。
実際に工夫された方の例
ここでは、実際の工夫された方の例についてみてみましょう。例1) 勤務時間が不規則で、朝の薬を飲み忘れてしまうAさんの場合
薬剤師:Aさん、朝の薬だけたくさん残っていますね。
Aさん :朝食をとらない日もあって朝の薬を飲み忘れてしまうことが多いです。
薬剤師:Aさんの朝の薬は違うタイミングで飲んでも大丈夫な薬です。先生に内服タイミングを変えられるか相談してみましょう。Aさんが忘れにくいタイミングはいつですか?
Aさん :夕食後に忘れることはほとんどありません。
薬剤師:先生、Aさんはお仕事の関係で朝は薬の内服が難しそうです。夕食後に変更は可能ですか?
医 師:夕食後の内服で問題ありません。処方変更をしておきます。
薬剤師:Aさん、先生に確認したら夕食後でも大丈夫だそうです。処方変更をしてもらったので本日から夕食後に内服してください。
Aさん :わかりました。
例2) 食直前・食後両方のタイミングで飲む薬があり、どちらかを飲み忘れてしまうBさんの場合
薬剤師:Bさん、薬がたくさん残っていますが、食直前と食後の薬の残量がかなり違いますね。
Bさん :いつも食直前か食後、どちらか忘れてしまうんです。
薬剤師:Bさんの食直前の薬は、薬の効くタイミングを考えると食直前に飲まないといけません。食後の薬は食直前に変えても問題ないので、すべて食直前にまとめられるか先生に相談してみましょう。
薬剤師:先生、Bさんは内服のタイミングが多いと飲み忘れてしまうそうです。食直前の薬は用法の変更ができないと思うので食後の薬を食直前にして飲むタイミングを統一するのはどうですか?
医 師:すべて食直前の内服で問題ありません。処方変更をしておきます。
薬剤師:Bさん、先生に確認したらすべて食直前でも大丈夫だそうです。処方変更をしてもらったので本日から食後の薬も食直前に内服してください。
Bさん :わかりました。
*お薬の中には、食後に飲むべきものもあります。医師や薬剤師へ相談せずに自己判断で服薬のタイミングを変更することは絶対にやめましょう。
薬を続ける工夫をみんなで考えましょう
飲み薬の治療を続けることはとても大切ですが、忘れずに薬を飲み続けることは難しいことです。薬を続けることに負担を感じたり、つい飲み忘れたりしてしまう場合は、周囲の方と相談して工夫していきましょう。- どうやったら無理なく続けられるか、自分の生活リズムや性格をよく理解しましょう。周囲の方と相談するのもよいでしょう。
- どうしても飲み忘れる薬がある場合には、お薬の用法や必要性を再考した上で飲むタイミングや、薬の種類・組み合わせの変更を検討したほうがよい場合があります。薬剤師や医師と一緒に考えていきましょう。