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糖尿病と車などの運転のはなし

2017年8月2日掲載

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血糖値を下げる薬で低血糖がおきたり、糖尿病の慢性合併症がすすんだりすると、車を運転するのが危険なときがあります。どういう状態のかたが運転をしてはいけないのか、どういったところに注意して運転すればよいか、知っておきましょう。

目次

車などを運転する時に気を付けたいこと

車運転

私たちが車の運転をする時には、乗る前に車を点検し、シートベルトを着用して、無理な運転操作をせず交通ルールを守った安全な運転を心がける必要があります。運転時には注意不足や寝不足、過労は避ける、飲酒運転は絶対ダメなどの体調管理も重要です。

また、持病のある方の場合は、病気のせいで運転中に不注意が起きうるかどうかについても知っておく必要があるでしょう。ご自分の体調や健康状態、治療薬を把握し、前もって対策を考えておくことが、安全運転につながります。

糖尿病の方は、糖尿病の合併症が進むと運転が難しくなる場合があります。また、低血糖を起こしやすい方は運転に際して特に注意が必要であり、場合によっては運転をしてはいけない場合があります。運転をされる方は、ご自身の糖尿病の状況を主治医とよく相談し、運転ができるかどうか、安全運転のために何を注意すればよいか確認しておきましょう。

糖尿病の慢性合併症と車などの運転

視力
  • 糖尿病網膜症が進行すると、視力障害や失明につながります。網膜症がなくても1年に1回の定期検査を行いましょう。もし視力障害が進行した場合には、眼鏡の調整や眼の治療をすることで運転が続けられるかどうか、眼科の先生にご相談ください。
  • 糖尿病神経障害の重い方では、手足の感覚の低下や筋力の低下などで、アクセルやブレーキペダルなどの操作がしにくくなることがあります。このような方も、運転について主治医とよく相談をしましょう。
  • 下肢切断をされた方や、障害のある方の自動車運転を支援する団体もあります。

   NPO法人日本身障運転者支援機構(外部サイトにリンクします)

糖尿病の薬を使っている人が運転の際に気を付けること

糖尿病の薬が運転に影響をすることがあります

インスリン

糖尿病の薬(特にインスリンスルホニル尿素薬速効型インスリン分泌促進薬)で治療されている方は、薬の影響により低血糖になる可能性があります。脳は糖をエネルギーとしているため、低血糖がおきると状況判断の能力は明らかに低下することが知られています。

普段の生活で、低血糖の振り返りを行い、予防策を考えましょう

振り返り

低血糖があった時には、低血糖になった時間帯や、その時の食事内容、運動していたかどうかなどの状況を記録しておきます。
診察の時に、主治医、担当看護師などと状況を振り返り、ご自分がどのようなタイミングで低血糖になりやすいか確認しておきましょう。

運転中に低血糖を起こさないように予防策を考えておきましょう。
詳しくは、「低血糖」をご覧ください。

空腹時、運動の後の運転には特に注意しましょう

空腹時、運動の後は低血糖になりやすいです。運転前の血糖値が正常であっても、運転している間に血糖値が下がる可能性があります。
日頃より低血糖になりやすい方は、空腹時の運転は避けましょう。また、余裕をもって休憩をとり、いつもの食事時間を守りましょう。

該当する方は、運転前に血糖測定を行いましょう

血糖測定中

低血糖を起こす可能性のある薬を使用している方(特にインスリン)、低血糖を起こされたことがある方や起こす可能性の高い方は、運転前に血糖測定を行うとよいでしょう。主治医とあらかじめ良く相談しておきましょう。安全な血糖の一つの目安は100mg/dl以上です。血糖値が低めのときは、糖分を摂取することなく運転をしては絶対にいけません。

血糖が正常範囲であっても近いうちに下がることが考えられる場合には、あらかじめビスケットなどの補食をすることで、運転中に低血糖にならないように予防しておきましょう。

車の中にブドウ糖、ブドウ糖を含む飲み物などを用意しておきましょう

低血糖にすぐ対応できるように、すぐに血糖値を上昇させる食べ物と、上昇した血糖を長時間保つ食べ物の2種類を用意しておきましょう。

すぐに血糖を上昇させる作用のある食べ物
ブドウ糖、ジュース、ソーダ、飴玉
いずれもダイエットタイプではなくて糖分を含んでいるもの
ゆっくりと血糖が上昇して長い間作用のある食べ物
複合糖質・たんぱく質・脂質を含んだ食べ物
おにぎり、チーズ、クラッカー、ビスケットなど

 

もしも運転中に低血糖が起きてしまったら

運転中に、低血糖になりそうな感覚や低血糖の症状が出たら、すぐにハザードランプを点滅させて路肩など安全な場所に車を停め、低血糖に速やかに対応しましょう。糖分をとってからしばらく休憩をし、可能であれば血糖測定を行って血糖値が十分に上昇したのを確認してから運転を再開しましょう。

血糖値と低血糖の症状が回復するまでは絶対に運転を再開してはいけません。


その時の体調によっては、上記に気を付けても低血糖となる可能性があるかもしれません。
ゆとりのある運転計画やしっかりとした準備を行い、安全な運転をしましょう。

糖尿病の方に関係する改正道路交通法のはなし

糖尿病の治療中に無自覚性低血糖が起きて意識障害を起こす可能性がある場合には、自動車の運転に支障を及ぼすおそれがあり、運転をしてはいけません。平成25年に改正された道路交通法により、無自覚性低血糖など意識障害を起こす可能性について虚偽の申告をして免許を取得・更新した場合に、罰則が適用されることになりました。一方で、糖尿病の方の多くは問題なく運転を行うことができ、低血糖を起こす患者であっても症状があって自分で対応できる場合には運転を行うことが可能です。無自覚性低血糖と、平成25年に改正された道路交通法について学びましょう。

無自覚性低血糖とは

無自覚性低血糖とは、低血糖の状態にあるにもかかわらず、手の震え、冷汗などの低血糖症状(交感神経症状)を自覚しない状態を言います。

意識喪失

このような状態では、からだへのサインがないまま、突然、意識がもうろうとする、意識がなくなるなどの症状(中枢神経症状)が出てしまいます。意識を失って、他の人の助けが必要となるような、重症な低血糖となる場合もあります。運転中にこのような状況になると、非常に危険であるため、無自覚性低血糖が起きて意識障害を起こしうる患者さんは運転をしてはいけません。

ご自分と同乗者、周囲の運転者や歩行者の安全を守るためにも、糖尿病で低血糖が心配な方は、主治医とよく相談しましょう。「無自覚性低血糖」を防ぐには、目標の血糖値を高めにする、インスリンの量・種類を変更する、飲み薬を変更する、食事を節制するなど治療の見直しをすることや、薬の飲み方などをきちんと守ることが大切です。

糖尿病に関連する無自覚性低血糖と運転免許に関する法律

無自覚性低血糖が起きてしまい運転に支障のある可能性がある場合は、免許の取得や更新の時に申告が必要であり(道路交通法施行令第三十三条の二の三)、虚偽の申告をして免許を取得・更新した場合には罰則が適用されることとなりました(道路交通法第九十条の一)。免許の取得・更新のときには正しく申告することが大切です。正しい申告をして免許が失効になった方が無自覚低血糖が起こらなくなって再取得したい場合には、失効から3年以内であれば試験の一部が免除されます。

すでに免許をもっていて更新まで時間がある方でも、「無自覚性低血糖」が起きるようになった場合には、ご自分で低血糖を回避できるよう血糖値を調整できない限りは安全のために運転をしてはいけません。

実際に免許の取得や更新が可能かどうか、また、そのための条件や必要書類については各都道府県警察で運転適性相談を行っていますので、事前にご相談ください。

法律については、日本国内の状況です。国により状況が異なりますので、海外で運転のご予定のある方は、その国の状況を確認しましょう。

参考文献

更新履歴

2019年8月8日 リンクの更新、および本文の微修正

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