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糖尿病の方の災害時の備え
2015年10月27日掲載2016年6月8日改定版掲載
災害は、いつ起こるか分かりません。
糖尿病の方は、災害時には食事の変化、活動量が変わる、ストレス、薬が手に入らない、などで血糖値のコントロールが難しい状況になります。災害を上手に乗り切るために、災害に備えて日頃からできることと、実際に災害が起きた時にできることを紹介します。
目次
災害に備えて日頃からできること
糖尿病連携手帳を身につけておきましょう
ご自身の糖尿病の状態や治療内容をいつでも確認できるようにしておきます。日頃から手帳を活用して、持ち歩く習慣も身につけましょう。また、就寝時は枕元に置いておいて、すぐに持ち出せるようにしましょう。
お薬手帳を身につけておくか、お薬手帳の内容を携帯電話で撮影しておきましょう
携帯電話を持ち歩く方が多いので、大事な情報をまとめておくのもよい方法です。
薬をまとめておきましょう
すぐに持ち出せるように薬、血糖測定の道具は避難袋の近くにおきます。薬を家と職場などに分けて保管することも役に立ちます。
特にインスリンや注射薬をお使いの方は、インスリンなどの注射薬と注射針、アルコール綿、低血糖のときのためにブドウ糖をまとめて準備しておきます。
ブドウ糖は、水がなくてもとれるもの(ゼリーやタブレットタイプが市販されています)が重宝します。血糖自己測定をされている方は血糖測定の道具を1週間分まとめておきます。
水害が心配な地域では、封のできるビニール袋などに入れて保管しておくのが有効な場合もあります。
食料(3日から1週間)・飲料水(1人1日3リットル)を備蓄しましょう
災害時は糖質の多い食事になりがちです。缶詰、レトルト食品などを上手に活用しましょう。食料・飲料水の備蓄は、定期的に入れ替えを行います。
近所の避難所を知っておきましょう
お住まいの地域の避難所を知っていることで、いざという時に慌てずに動けます。
自治体のウェブサイトなどから調べることができます。
実際に災害が起きた時にできること
家族、大切な人との安否確認をしましょう
災害時に、大切な人と連絡が取れないことが大きなストレスになります。災害用伝言ダイアル(171)などの使用法を確認し、いざという時の連絡方法を家族であらかじめ決めておくのも大切です。
水分をしっかりとるように心がけましょう
災害時には、トイレの心配から水分を控えがちになります。また、非常食の水分量は、日頃の食事の水分量より少ないので、いつもと同じように飲んでいても、結果的に水分不足になりがちです。水分が不足すると、血糖があがったり、腎臓が悪くなったり、血管が詰まりやすくなったりすることがありますので、甘くない水分をしっかりとるようにしましょう。
トイレの心配がないように、あらかじめ簡易トイレを準備しておくのも有用かもしれません。
治療を継続しましょう
状況が変わる中でも、食事、運動、薬の治療を、可能な範囲で継続することが大切です。
食事は、普段の食事の量を覚えておき、なるべくそれに近い食事を取るようにします。食事が避難所の支給などになると、塩分の多いものや炭水化物が中心になり、栄養素のバランスが崩れやすくなります。十分なエネルギーが取れない場合には、いつもと同じ量の薬では低血糖になる可能性もあります。一方で薬を全く使わないと高血糖になる可能性があります。ご自身で判断するのはとても難しいですが可能であれば血糖値を測って、できれば医師や医療スタッフと相談して薬の量を決めます。
体重、血圧、血糖値などを測ることができる時には、積極的に測ります。
シックデイルールを活用しましょう
食事の量やタイミングが分かりにくい時の薬の使い方は、シックデイルールを活用しましょう。
日頃から、主治医とご自身のシックデイルールを相談し決めておいて、それをいざという時に確認することができるように、メモや携帯電話の画像として保管し、身につけておきます。
少しでもからだを動かしましょう
どうしても動く量が減りやすくなります。ストレッチや足首の運動など、場所を選ばずできる運動を少しずつ行います。
一方で、普段は車や電車で移動しているところを歩くなど、運動量が増えることでの低血糖にも注意が必要です。
感染とケガに注意しましょう
災害時に水が不足して手や食器が洗えないなど、環境が不衛生になることや、ストレスで免疫力が落ちることで感染しやすい状態になります。手洗いの代わりにアルコール式の消毒も活用できます。全身の体調管理のために、また思わぬケガをしないように、睡眠、休息をとるようにします。
周りに相談しましょう
災害時には様々なストレスがかかります。ストレスは、からだにもこころにも影響します。ストレスが原因で高血糖になったり、逆に食事がとれずに低血糖になったりと、血糖値にも大きく影響します。
一人で悩まないのが重要です。知人、周りの人に糖尿病であることを伝えたり、避難所の医療スタッフ、近くの医療機関などで困っていることを相談できる方を、ぜひみつけてみてください。