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シックデイ
2015年10月27日掲載2016年6月8日改定版掲載, 2020年2月14日再改定版掲載
糖尿病の方が風邪をひいたり、具合が悪くて食事が食べられなかったりすると、血糖値を下げる薬の調整が必要になることがあります。これをSick day(シックディ)と呼びます。ここではその対処方法についてお話しいたします。
目次
シックデイとは
糖尿病の方は、ウィルスなどに対する抵抗力が低下しているため、さまざまな感染症にかかりやすいと言われています。
糖尿病の方が、感染症にかかり、熱が出る・下痢をする・吐く、また食欲不振によって、食事ができないときのことを『シックデイ』(体調の悪い日)と言います。
このような状態では、インスリン製剤を普段使用する必要のない血糖コントロールが日頃は良好な方でも、著しい高血糖になり、たいへん重い状態になることがあります。1型糖尿病などでインスリン製剤の使用が必須の方では、さらに高血糖になりやすく、注意が必要です。また、体調が悪いことで食事ができずに低血糖になる可能性もあり、血糖値の確認が大切です。
こんな時は、シックデイに注意
嘔吐する | 風邪をひく | 熱が出る |
シックデイルール
シックデイの時の家庭での対応の基本を『シックデイルール』といいます。
シックデイの時には、以下の対応を行いましょう。より具体的な内容は、あらかじめ主治医と相談し、決めておきます。
シックデイルール
- 安静と保温につとめましょう。
- スープなどで十分に水分を摂り、お粥やうどんなどで炭水化物をとりましょう。
- インスリン製剤を使っている方は、決して自己判断でインスリンを中断しないようにしましょう。
- 飲み薬を使用している方は、薬の量の調整が必要な場合があります。
- 可能ならこまめに血糖自己測定をして、血糖値と病気の状態を確認しましょう。
特に、下記の症状がある方は、すぐに医療機関へ連絡をするか、受診をしてください。入院が早急に必要な場合もあります。
すぐに医療機関へ連絡をするか、受診をする状態
- 嘔吐・下痢がとまらない、38度以上の高熱が続くとき
- 食事が24時間にわたって、全くとれない、または極端に少ないとき
- 血糖値が350mg/dL以上が続くとき
- 意識の状態に変化があるとき
いつシックデイになるかはわかりません。
普段から、主治医と、病気・治療のことと共に、シックデイの時の対応について詳しく話しておくといいでしょう。具体的な血糖値の値や、薬の使い方、医療機関に相談すべきタイミングなどをあらかじめ決めて、文章にしておくと、いざという時に役に立ちます。遠慮せず、医師、医療スタッフにお声かけください。
参考文献
- 日本糖尿病学会 編著:糖尿病治療ガイド2020-2021. 文光堂, 2020
- 日本糖尿病学会 編 糖尿病診療ガイドライン2019第1刷 南光堂 2019
- 国立国際医療研究センター病院糖尿病内分泌代謝科CDEJ 「シックデイ・病気の日はどう対応する?」 2014 より(図の引用含む)