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糖尿病の食事のはなし(実践編)
2015年10月27日掲載改訂:2015年11月19日, 2021年9月27日
目次
糖尿病の食事療法について、ここでは具体的な内容をお伝えいたします。
基本的な内容をお知りになりたい方は 糖尿病の食事のはなし(基本編)を、具体的な献立例は 糖尿病の食事のはなし(献立編)をご覧ください。
間食(おやつ)について
朝食、昼食、夕食の3食以外に間食をすると、体重が増えやすく、血糖コントロールも難しくなります。間食は主治医と相談し、適量を決めて、上手な取り方を工夫しましょう。
上手な間食の取り方のコツ
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アルコールの摂取について
少量のアルコールは動脈硬化によいと言われますが、飲み過ぎは肝臓病や癌などにつながります。飲酒に合わせておつまみを食べると血糖値が上がる人がいる一方で、飲酒後には、肝臓に負担がかかるので逆に低血糖になることもあります。
飲み過ぎは、血糖のバランスを崩してしまうので、危険です。
糖尿病を持っている方でも、一般的に許される量は1日アルコールとして25g程度まで(日本酒1合、ビール中瓶1本500ml程度)されており、休肝日をつくりましょう。主治医と適正な量を相談しましょう。
減塩について
糖尿病のある方は、高血圧の予防のために、減塩が大切です。(男性1日7.5g未満、女性1日6.5g未満)
高血圧がある場合は、さらに食塩摂取量を減らしましょう。(1日6g未満)
食塩の摂取が多いと血圧が上がり、腎臓に負担がかかります。
また、動脈硬化(血管の老化)が進んで脳梗塞・心筋梗塞などが起きやすいと言われています。普段のお食事に、少し工夫をすることで、塩分を控えることができます。できることから実践してみましょう。
減塩の工夫
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腎臓の合併症がある場合
腎臓病がおありの場合は、たんぱく質・塩分・カリウムの栄養素の摂り方に工夫が必要なことがあります。
お一人お一人で体の状態は異なるため、いずれも腎臓専門医や管理栄養士と相談の上で実践することになりますが、ここでは基本的なことについてお話します。
たんぱく質の制限
たんぱく質は肉・魚・卵・大豆製品・乳製品に豊富に含まれます。
- 尿検査で顕性アルブミン尿(300mg/gクレアチニン以上)、または持続的に蛋白尿が出ている方(0.5g/gクレアチニン以上)では、たんぱく質の摂取に制限を考慮する場合があり、たんぱく質の量としては、目標体重あたり0.8g~1.0g/kgが目安です。
- 蛋白尿がさらに進みネフローゼ症候群という状態になった方では、目標体重あたり0.8 g/kgの低たんぱく質食を考慮します。
たんぱく質の制限は、腎臓専門医と相談し、管理栄養士と面談の上で日常の食事に取り入れます。
塩分の制限
減塩の方法については、前項の『減塩について』をご参照ください。
1日の塩分摂取量は、6g/日未満、3g/日以上が目安です。
過度の減塩は、高齢者などでは食欲が減って低栄養になるなど、返って害となる可能性があるため、減塩の下限が設定されています。
カリウムの制限
血液中のカリウムが高い方は、食事や飲料から摂るカリウムを制限することがあります。
野菜ジュース・果汁100%ジュースなどの摂取は避けましょう。
野菜や果物はカリウムを多く含みます。食品の選び方や、カリウムを減らす方法について主治医・管理栄養士と相談しましょう。
カーボカウントについて
カーボカウントとは、食事中の炭水化物の量を把握することで、血糖をコントロールする方法です。炭水化物は、食事の中の主要な栄養素であり、食直後の血糖値の上昇に大きく関わります。たんぱく質や脂質でも血糖値はゆっくりと上昇しますが、カーボカウントでは、より早く血糖値があがる炭水化物に特に注目します。
炭水化物の量を把握して一食あたりの炭水化物の量をある程度一定にすることで、血糖値が安定しやすくなります。この方法は、いろいろなタイプの糖尿病(糖尿病ってどんな種類があるの?)の方が利用できます。
強化インスリン療法を行っている、主に1型糖尿病の方は、食事の炭水化物の量に合わせて食直前のインスリン投与量を調整することで、血糖値が安定しやすくなります。ただし、食事全体のエネルギー量が多くなると、体重が増えてしまうため注意が必要です。
より詳しく知りたい方や、実際にカーボカウントを行う際は、主治医や管理栄養士の指導のもとに実践しましょう。
糖尿病のお食事についての基本は 糖尿病の食事のはなし(基本編)、具体的な献立例は 糖尿病の食事のはなし(献立編)をご覧ください。
参考文献
- エビデンスに基づくCKD診療ガイドライン2018 編集 日本腎臓学会 東京医学者 2018
- 渡邊早苗・寺本房子・松崎政三 編・著 Nブックス 三訂 臨床栄養管理 建帛社 2015
- 日本糖尿病学会 編・著 糖尿病診療ガイドライン2019 南江堂 2019
- 日本糖尿病学会 編・著 糖尿病治療ガイド2020-2021 文光堂 2020