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糖尿病は早く見つけましょう
更新・確認日:2024年10月24日
掲載日:2015年10月27日
2型糖尿病の方の血糖値は、ある日突然高くなるというのはまれで、多くの場合、人が気づかないうちにだんだん高くなってきます。
ここでは、症状がない糖尿病がどのように見つかって診断されるのか、診断に至ったきっかけについて例をあげてお話しいたします。
1型糖尿病について詳しくは1型糖尿病ってどんな病気?をご覧ください。
目次
2型糖尿病がわかるきっかけ
早い時期に見つけて、血糖マネジメントをすると、糖尿病の合併症を防いだり、進行をおさえることができます。
健康診断は、糖尿病を見つける、一番身近な方法です。
糖尿病の予備群や、メタボリックシンドロームについても、早めに気が付いて食事療法や運動療法を行うと、糖尿病の発症を防ぐことができます。
ほかにも、糖尿病とわかるきっかけはさまざまです。
- 献血に行ったら、糖尿病の疑いと言われた
(献血では、血糖の指標であるグリコアルブミンを検査します。) - 高血糖の症状がでた
- 糖尿病の合併症がわかった時に、初めて糖尿病を指摘された
(糖尿病の急性合併症、糖尿病の慢性合併症) - 妊娠をした時に高血糖が見つかった
などがありますが、高い血糖値がからだに悪い影響を及ぼす前に、早く見つけて、生活習慣の改善や治療をするのが理想です。
定期的に健康診断を受けて、2型糖尿病や糖尿病の予備群を早くみつけましょう。
糖尿病の予備群と言われたら、生活習慣を見直しましょう。
糖尿病と診断されたら、医師の診察を受けた上で、定期的に検査と治療を受けましょう。
血糖値とHbA1c
高い血糖値が続いていれば、糖尿病と診断します。
具体的には、血液の検査でわかる血糖値とHbA1c(ヘモグロビン・エーワンシー)が基準値より高いかどうかで診断します。
血糖値 | 検査したその時の、血糖の濃度を表します |
---|---|
HbA1c | 過去1,2か月分の血糖値のあらましを反映します |
正常型・境界型・糖尿病型
多くの場合、2型糖尿病になるときは、ある日突然、血糖値が高くなるのではありません。
はじめは正常範囲の血糖値だったのが、少し高くなり、徐々に糖尿病の範囲まで高くなってきます。
正常から糖尿病になるまでの段階は、血糖値の高さで、正常型、境界型、糖尿病型と3段階に分類されます。糖尿病型が2回確認できる、など一定の条件を満たして初めて、糖尿病と診断されます。
空腹時血糖が正常でも、食後血糖が高い「隠れた糖尿病」があります。隠れた糖尿病を発見するためには、75g経口ブドウ糖負荷試験という詳しい検査を行います。
糖尿病の診断の具体例
次のうち、どれか1つでも満たした方は、糖尿病の疑い(糖尿病型)です。糖尿病型には、下記以外の基準もあります。
- 空腹時血糖値(10時間以上絶食後の、早朝空腹時の血糖値)126mg/dL以上
- HbA1c 6.5%以上
「糖尿病型」が同日、または別の日に2つ確認されると糖尿病の診断となります。
「糖尿病型」をみとめた方は、できるだけ早く医療機関を受診しましょう。
注:糖尿病の診断について、さらに詳しい方法を知りたい方は糖尿病の診断基準をご覧ください。
糖尿病の診断のための検査を行った実際の例を、いくつか見てみましょう。
60歳女性 Aさんの場合
空腹時血糖値とHbA1cの結果で、1日の検査で糖尿病の診断がついた。
職場の健康診断で空腹時血糖値が140mg/dL、HbA1cが8.0%であり、医師から「糖尿病の診断です」と言われました。
54歳女性 Bさんの場合
1回目の検査で糖尿病が疑わしく、75gブドウ糖負荷試験で糖尿病と診断された。
健康診断では、空腹時血糖値が115mg/dL、HbA1c6.5%でした。「糖尿病の可能性がある」ため、さらに詳しい検査を勧められました。後日、病院で75g経口ブドウ糖負荷試験をしたところ、空腹時血糖値が110mg/dL、2時間値が285mg/dLと高い値であり、糖尿病の診断となりました。
このように、75g経口ブドウ糖負荷検査2時間値(糖を飲んだ後、2時間の血糖値)が200mg/dL以上でも、やはり糖尿病型です。
40歳男性 Cさんの場合
1回目の検査で「糖尿病の疑い」といわれ、2回目の検査で糖尿病の診断となった。
高血圧でかかりつけだったクリニックを受診したところ、血液の検査で血糖値が250mg/dLでした。糖尿病の疑いがあると言われ、2週間後に再び受診したところ、血液の検査で空腹時血糖が135mg/dLであり、糖尿病の診断となりました。
このように、随時血糖値(食事のタイミングに関係なく測った血糖値)が200mg/dL以上でも、やはり糖尿病型です。
糖尿病型には最初に述べた2つの基準を含め、このように4つの基準があります。
糖尿病の診断は1回の検査では分からないことがあります。そのため、糖尿病の疑いと言われたときは、「疑いだから」、と油断しないで、できるだけ早く再検査に行きましょう
また、次の例のように、高い血糖値が続いた場合に起きる、糖尿病に特徴的な症状や網膜症も診断の手がかりとなります。
35歳男性 Dさんの場合
糖尿病の典型的な症状と、血糖値の結果で糖尿病の診断となった。
最近2週間くらい、喉が渇いて清涼飲料水やジュースなどをたくさん飲んでいました。尿がたくさん出て、何度もトイレに行きます。疲れやすくて、体重も少しずつ減ってきました。心配して病院に行ったところ、「糖尿病に典型的な症状ですね」と言われました。血糖値が350mg/dLと高く、すぐに糖尿病の診断になりました。
糖尿病の症状をみとめる方も、早めに医療機関を受診しましょう。
参考文献
- 日本糖尿病学会 編:糖尿病診療ガイドライン2024.南江堂, 2024
- 日本糖尿病学会 編著:糖尿病治療ガイド2022-2023. 文光堂, 2022