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インクレチン関連薬と低血糖
2010年6月15日掲載2010年6月28日改定版掲載、2010年12月20日再改定版掲載
患者・一般向け情報
シタグリプチン(商品名 ジャヌビア、グラクティブ)、ビルダグリプチン(商品名 エクア)、アログリプチン(商品名 ネシーナ)、はDPP-4阻害薬という新しい種類の血糖を下げる飲み薬(経口血糖降下薬)です。膵臓からのインスリンの分泌を促すインクレチンとよばれるホルモンの働きを強めることで血糖を下げます。単独で、あるいは他の経口血糖降下薬(SU薬(スルホニル尿素薬)、ビグアナイド薬、チアゾリジン薬、αグルコシダーゼ阻害薬 など、個々のDPP-4阻害薬によってどの薬と併用できるかに違いがあります。)といっしょに使われます。
リラグルチド(商品名 ビクトーザ)とエキセナチド(商品名 バイエッタ)は2型糖尿病の方の血糖を下げる、GLP-1受容体作動薬という新しい種類の注射薬です。GLP-1(インクレチンと呼ばれるホルモンのひとつ)と同じように膵臓に働いてインスリンの分泌を促すことにより血糖を下げます。単独で、あるいは血糖を下げる飲み薬(SU薬、ビグアナイド薬、チアゾリジン薬 など、リラグルチドとエキセナチドではどの薬と併用できるかに違いがあります。)といっしょに使われます。
血糖を下げる薬やインスリンを使用している方は、時に血糖値が低くなりすぎて、そのために症状が出ることがあり得ます。これを低血糖といいます。低血糖のおこりやすさは薬によって若干の差があります。SU薬は他の薬よりはやや低血糖を起こしやすく、ビグアナイド薬、αグルコシダーゼ阻害薬、チアゾリジン薬などは単独で使った場合には低血糖は起きにくいです。新薬であるDPP-4阻害薬やGLP-1受容体作動薬も例外ではありません。単独で使った場合に、少数ではありますが、ご高齢の方、腎機能の低下している方などで低血糖が報告されていますし、他の血糖を下げる薬(特にSU薬)といっしょに使った場合には、一般の方でも低血糖をおこす頻度がやや高くなります。
一般的注意
血糖を下げる薬やインスリンを使用している方は、低血糖についての正しい知識を持つようにしましょう。わからないこと、心配なことがありましたら主治医におたずねください。低血糖がみられたときには、必ず主治医にそのことを伝え、ご相談ください。低血糖を怖がるあまり、糖尿病の薬を自分の判断で極端に減らしたり・止めたりしないでください。
リラグルチド注射やエキセナチド注射に切り替えた方は、切り替えの直後および注射の量が増えた後にこまめに血糖を測定する必要があります。血糖値が低ければ、必ず主治医にご相談ください。
- 低血糖について(詳しい解説ページへ)
血糖を下げる薬やインスリンについてわからないことがあれば、主治医や薬剤師におたずねください。また独立行政法人医薬品医療機器総合機構では、血糖を下げる薬やインスリンを含む「医薬品の患者さん向け説明文章」をホームページで紹介しています。
リンク先
独立行政法人医薬品医療機器総合機構ホームページ(外部リンク)から一般の皆様向け情報>患者向け医薬品ガイド>掲載されている患者向け医薬品ガイドの一覧をご参照ください。
医療関係者向け情報
『インクレチン(GLP-1受容体作動薬とDPP-4阻害薬)の適正使用に関する委員会』が、これらの薬剤を安全に使用するための勧告を行っております。これらの薬剤を使用する場合には、上の「患者・一般向け情報」に記載した事項に加え、下記のサイトを必ず参照してください。
リンク先
医薬品・医療器械等安全性情報 No.269
(シタグリプチン、ビルダグリプチン、アログリプチン、リラグルチド添付文書の改訂)(外部リンク)
日本糖尿病協会ホームページ
日糖協 新着情報【医療従事者向け】「インクレチンとSU薬の適正使用について」(外部リンク)
日本糖尿病学会ホームページ
「インクレチン(GLP-1受容体作動薬とDPP4阻害薬)の適正使用に関する委員会」から(2011年9月29日更新)(外部リンク)