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Reduced vascular events in type 2 diabetes by biguanide relative to sulfonylurea: study in a Japanese Hospital Database.
最終更新日:2015年12月22日
タイトル
ビグアナイド薬は大血管症予防に有効な可能性がある(日本人)
著者
Tanabe M, et al.
掲載誌
BMC Endocr Disord. 2015;15:49.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者): 日本人2型糖尿病患者(総4095人・男性61%・平均HbA1c7.3%)
I(治療):ビグアナイド薬(1305人)で治療開始
C(比較対照):SU薬(629人)で治療開始
O(アウトカム):大血管症リスクに差があるか?
I(治療):ビグアナイド薬(1305人)で治療開始
C(比較対照):SU薬(629人)で治療開始
O(アウトカム):大血管症リスクに差があるか?
研究方法
デザイン:後ろ向きコホート研究
盲検化:なし
追跡期間:2年
盲検化:なし
追跡期間:2年
結果
ビグアナイド薬群の大血管症リスク(1次+2次予防および2次予防)はSU薬群と比較していずれも有意に低下していた.α-GI,チアゾリジン薬,グリニド系薬,DPP-4阻害薬はいずれもSU薬と比較して有意差はなかった.
初期投与薬剤 | ハザード比(対SU薬) | 95%信頼区間 | p値 | 絶対リスク差(/1000人年) |
---|---|---|---|---|
1次+2次予防(4095人) | 0.603 | 0.439 - 0.829 | 0.002 | -57.9 |
2次予防(1273人) | 0.566 | 0.376 - 0.852 | 0.006 | -117.8 |
コメント
メトホルミンを主体とするビグアナイド薬は,UKPDS(RCT・1次予防)などで大血管症リスクの有意な低下を認めているが,中国人を対象としたRCT(*)でもSU薬を比較して有意な大血管症2次予防(ハザード比0.54)を認めている.本研究で算出された相対リスク低下度はこれまでの報告と同程度であり,ビグアナイド薬の有効性の普遍性を裏付ける.本研究は,観察研究ではあるが,日本人約4000人を対象として臨床的アウトカムを比較検討をした点で臨床的に意義が大きいであろう.
備考
*http://ncgm-dm.jp/center/ebm/30000/30056.html