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Ezetimibe Added to Statin Therapy after Acute Coronary Syndromes.
最終更新日:2015年12月1日
タイトル
エゼチミブをスタチンに追加投与すると心血管疾患リスクの有意な相加的抑制効果がある
著者
IMPROVE-IT Investigators.
掲載誌
N Engl J Med. 2015 Jun 3. [Epub ahead of print](PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者): 過去10日間に急性冠動脈症候群を起こした患者(全18144人・男性76%,糖尿病27%・平均年齢64歳・平均LDL-C94mg/dl)
I(治療):シンバスタチン40mg+エゼチミブ10mg/日(9067人)
C(比較対照):シンバスタチン40mg/日+プラセボ(9077人)
O(アウトカム):心血管死・心血管疾患の発症リスクに相違があるか?
I(治療):シンバスタチン40mg+エゼチミブ10mg/日(9067人)
C(比較対照):シンバスタチン40mg/日+プラセボ(9077人)
O(アウトカム):心血管死・心血管疾患の発症リスクに相違があるか?
研究方法
デザイン:無作為化比較試験
盲検化:あり
追跡期間:6年(中央値)・追跡率91%・服薬中断率42%
盲検化:あり
追跡期間:6年(中央値)・追跡率91%・服薬中断率42%
結果
併用群とスタチン単独群の追跡期間中の平均LDL-Cはそれぞれ53.7,69.5mg/dlであった.
7年時点でのKaplan-Meierイベント率はそれぞれ32.7,34.7%で,両群間に有意差を認めた.
両群間に有害事象の差はなかった.
7年時点でのKaplan-Meierイベント率はそれぞれ32.7,34.7%で,両群間に有意差を認めた.
両群間に有害事象の差はなかった.
アウトカム | シンバスタチン+ エゼチミブ群 | シンバスタチン+ プラセボ群 | 相対リスク/絶対差 | 信頼区間,p値 |
---|---|---|---|---|
一次 エンドポイント |
32.7% | 34.7% | 0.936/-2.0% | 0.89~0.99, p=0.016 |
コメント
スタチンやエゼチミブはLDL-C低下作用以外の抗動脈硬化作用も有することが想定されているが,
これまでにはその仮説を実証するエビデンスはなかった.
今回の研究ではリスク減少率はLDL-C低下率からの予測値と合致していたため(薬剤による付加価値は認めなかった),その仮説は事実上否定された点で興味深い.
すなわち,LDL-Cが低下すること自体が重要なのであり,どの薬剤を使用しても動脈硬化抑制効果は同じである.そのため本試験は,「エゼチミブが心血管イベントを減らした」というよりは,
「LDL-Cは低値であるほどリスクが減ることが示された」と解釈すべきであろう.
ただし,治療中断率が高率であることを実臨床においては十分に勘案すべきである.
これまでにはその仮説を実証するエビデンスはなかった.
今回の研究ではリスク減少率はLDL-C低下率からの予測値と合致していたため(薬剤による付加価値は認めなかった),その仮説は事実上否定された点で興味深い.
すなわち,LDL-Cが低下すること自体が重要なのであり,どの薬剤を使用しても動脈硬化抑制効果は同じである.そのため本試験は,「エゼチミブが心血管イベントを減らした」というよりは,
「LDL-Cは低値であるほどリスクが減ることが示された」と解釈すべきであろう.
ただし,治療中断率が高率であることを実臨床においては十分に勘案すべきである.