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Bardoxolone methyl in type 2 diabetes and stage 4 chronic kidney disease.

最終更新日:2014年2月25日

タイトル

バルドキソロン(nuclear 1 factor-related factor 2 活性薬)はCKDの予後を改善しない

著者

de Zeeuw D, et al

掲載誌

N Engl J Med. 2013;369:2492-503(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者): CKD4期の2型糖尿病患者(全2185人・男性57%・平均年齢69歳・平均HbA1c 7.1%) 
I(治療):初診時の歯石除去・根面平滑化・含嗽液および3ヶ月ごとの対症療法
C(比較対照):バルドキソロン20mg/日
O(アウトカム):末期腎不全・心血管死(複合エンドポイント)に差があるか?

研究方法

デザイン:ランダム化比較試験
盲検化:あり
追跡期間:9ヶ月(中央値):有害事象のため早期中止,追跡率99%,服薬中断率7%

結果

複合エンドポイントの発生率は実薬群6%,プラセボ群6%(有意差なし)であった.また,末期腎不全・心血管死それぞれに関しても有意差を認めなかった.プラセボ群と比較し,実薬群ではeGFR・血圧・尿中アルブミン-クレアチニン比の有意な上昇と体重の有意な増加を認めた.実薬群の9%,プラセボ群の5%(ハザード比1.83,P<0.001)において心不全による入院・死亡が発生したため試験は早期中止となった.
アウトカムバルドキソロンプラセボハザード比信頼区間,P値
末期腎不全・心血管死 6% 6% 0.98 -0.70~1.37, 
P=0.92
心不全による入院・死亡 9% 5% 1.83 -1.32~2.55, 
P<0.001

コメント

糖尿病 腎症はレニン-アンジオテンシン-アルドステロン系阻害薬により進展が抑制されるが残存リスクは高い.他剤としてパリカルシトール(選択的ビタミンD受容 体作動薬)は2型糖尿病のアルブミン尿を減少させないことが報告されている(*).CKDの進展因子として着目されている酸化ストレスや炎症は nuclear 1 factor (erythroid-derived 2)-related factor 2 転写因子の不活性化と関連しているため,その活性薬であるバルドキソロン(bardoxolone)がCKD進展を抑制することが期待されていた.
本試験では,eGFRの有意な低下を認めたものの他因子の悪化を認め,臨床的アウトカムは改善しないどころか有害事象の有意な増加をきたした.ベネフィットとリスクを照合勘案するうえで,臨床研究による実証(エビデンス)の重要性が再認識される.

備考

* http://www.ncgm-dmic.jp/public/articleInfoDetail.do?articleInfoId=412

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