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Alogliptin after Acute Coronary Syndrome in Patients with Type 2 Diabetes.

最終更新日:2013年9月26日

タイトル

アログリプチン追加投与による大血管症二次予防は無効(日本人を含む)

著者

EXAMINE Investigators.

掲載誌

N Engl J Med. 2013 Sep 2. [Epub ahead of print](PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者): 過去2週~90日間に急性冠動脈症候群を起こした2型糖尿病患者(日本を含む多国・全5380人・男性糖尿病68%・平均年齢61歳・平均HbA1c8.0%・平均体重80.0kg) 
I(治療):アログリプチン25mg/日(腎機能低下者では12.5,6.25mg)追加投与(2701人)
C(比較対照):プラセボ追加投与(2679人)
O(アウトカム):心血管死・心筋梗塞・脳卒中の発症リスクに相違があるか?

研究方法

デザイン:無作為化比較試験
盲検化:あり
追跡期間:18ヶ月(中央値)・追跡率99%・服薬中断率22%

結果

アログリプチン群とプラセボ群の最終HbA1c差は-0.36%であった.両群とも同程度の体重増加を認めた.
1次エンドポイントに両群間(11.3% vs 11.8%)で有意差を認めなかった.
低血糖・膵炎・全癌(膵癌発生なし)・透析導入のリスクに有意差を認めなかった.
アウトカムアログリプチン群プラセボ群相対リスク/変化差信頼区間,p値
心血管死・
心筋梗塞・脳卒中
11.30% 11.80%   0.96 上限1.16,
p<0.001(非劣性検定),=0.32(優越性検定)
HbA1c変化 -0.33% 0.03% -0.36% -0.43~-0.28,
p<0.001
体重変化 +1.09kg +1.04kg +0.06kg -0.25~0.36,
p<0.71

コメント

血糖コントロールは僅差であったが,その結果,血糖降下以外のDPP-4の阻害による影響が評価しやすくなる.
体重増加は両群で同程度だった.DPP-4阻害薬は,食後高血糖を是正すること・低血糖リスクが小さいこと・体重増加を来しにくいことなどから大血管症予防効果が期待されていたが,本研究および同誌に同時発表されたサキサグリプチンによる介入研究(いずれも高リスク者を対象し,プラセボと比較)によりその効果は現時点では否定的となった.
一次エンドポイントからは「安全性」の印象があるが,服薬中断率が高いこと,追跡期間が比較的短いこと,プラセボとの比較であること,著者・解析者に試験薬の製薬会社員が含まれていることなどから割り引いて解釈する必要がある.
疫学的には食後高血糖は糖尿病合併症や死亡のリスクファクターであるが,食後高血糖是正による予防効果は現時点では超速効型インスリン・αグルコシダーゼ阻害薬・グリニド薬使用でも立証されていない.大血管症予防効果の指標としては血糖コントロールは有用性に乏しく,大血管症を予防するためには血糖値以外のリスクファクターの積極的管理も重要であろう.

備考

アログリプチンとの併用可能薬については「糖尿病標準診療マニュアル」を参照 http://www.ncgm-dmic.jp/doc/diabetes_treatment_manual.pdf

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