トップページ > 医師・医療スタッフの方へ > EBM論文情報
Efficacy and safety of insulin degludec three times a week versus insulin glargine once a day in insulin-naive patients with type 2 diabetes: results of two phase 3, 26 week, randomised, open-label, treat-to-target, non-inferiority trials
最終更新日:2013年11月15日
タイトル
インスリンデグルデク週3回投与はグラルギン連日投与より効果が劣る
著者
Zinman B, et al.
掲載誌
臨床問題
P(患者):インスリン使用歴のない2型糖尿病患者(多国・全927人・平均年齢58歳・男性57%・平均HbA1c 8.3%・平均BMI32)
I(治療):インスリンデグルデク週3回投与(施設ごとに朝または夕投与)
C(比較対照):インスリングラルギン1日1回投与
O(アウトカム):到達HbA1cに差異があるか?(非劣性ボーダー0.4%・朝投与群と夕投与群それぞれで比較)
I(治療):インスリンデグルデク週3回投与(施設ごとに朝または夕投与)
C(比較対照):インスリングラルギン1日1回投与
O(アウトカム):到達HbA1cに差異があるか?(非劣性ボーダー0.4%・朝投与群と夕投与群それぞれで比較)
研究方法
デザイン:無作為化比較試験(第3相)
盲検化:なし
追跡期間:26週,追跡率100%,割り当て治療遂行率89%
盲検化:なし
追跡期間:26週,追跡率100%,割り当て治療遂行率89%
結果
非劣性ボーダーはFDAガイドラインに沿って設定され,空腹時血糖値70~90mg/dlを目指してインスリン投与量が調整された.
デグルデク(朝)群・(夕)群それぞれと同じ施設でのグラルギン群との比較分析がされた.
両比較においてデグルデクのほうが有意に劣性であった.
1日あたりの投与量はデグルデク(朝)50単位・同施設グラルギン62単位,デグルデク(夕)51単位・同施設グラルギン56単位であった.
体重増加に関しては群間差はなかった(0.5~1.2kg).
重篤低血糖の頻度は,デグルデク(朝)群ではグラルギン群と有意差はなかったがデグルデク(夕)群はグラルギン群より有意に高かった.
デグルデク(朝)群・(夕)群それぞれと同じ施設でのグラルギン群との比較分析がされた.
両比較においてデグルデクのほうが有意に劣性であった.
1日あたりの投与量はデグルデク(朝)50単位・同施設グラルギン62単位,デグルデク(夕)51単位・同施設グラルギン56単位であった.
体重増加に関しては群間差はなかった(0.5~1.2kg).
重篤低血糖の頻度は,デグルデク(朝)群ではグラルギン群と有意差はなかったがデグルデク(夕)群はグラルギン群より有意に高かった.
アウトカム | デグルデク (朝)群 | (朝)施設 グラルギン群 | デグルデク (夕)群 | (夕)施設 グラルギン群 |
---|---|---|---|---|
HbA1c低下(%) | -0.9 (有意劣性) |
-1.3 | -1.1 (有意劣性) |
-1.4 |
空腹時血糖値 70~90mg/dl達成率(%) |
9.6 | 16.6 | 14.2 | 26.5 |
コメント
インスリンデグルデクは作用に明らかなピークがなく持続時間が42時間以上であることから,低血糖リスクが少なく注射回数も少ない新薬として期待されていた.しかし血糖コントロールに関してはグラルギンより有意に劣り,低血糖リスクも増加したことから,デグルデク週3回投与法は原則として推奨されない.
ただし,以下の点でこの研究は妥当性が非常に低く,結果を相当に割り引いて解釈する必要がある.
・著者8人のうち2人がデグルデクの製薬会社員である(所属・COI・役割・研究資金源は記載されている)
・データ解析や論文執筆にもデグルデクの製薬会社員が関与している(謝辞に記載)
・長期的アウトカム不明
ただし,以下の点でこの研究は妥当性が非常に低く,結果を相当に割り引いて解釈する必要がある.
・著者8人のうち2人がデグルデクの製薬会社員である(所属・COI・役割・研究資金源は記載されている)
・データ解析や論文執筆にもデグルデクの製薬会社員が関与している(謝辞に記載)
・長期的アウトカム不明
備考
サキサグリプチンとの併用可能薬については「糖尿病標準診療マニュアル」を参照 http://www.ncgm-dmic.jp/doc/diabetes_treatment_manual.pdf