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Once-weekly exenatide versus once- or twice-daily insulin detemir: randomized, open-label, clinical trial of efficacy and safety in patients with type 2 diabetes treated with metformin alone or in combination with sulfonylureas.
最終更新日:2013年8月29日
タイトル
徐放型エキセナチドはインスリンデテミルより血糖低下・減量効果が大きい
著者
Davies M, et al.
掲載誌
Diabetes Care. 2013;36:1368-76.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者):メトホルミン服用中の2型糖尿病患者(216人・平均年齢59歳・男性66%・平均HbA1c 8.4%・平均BMI33.7)
I(治療):徐放型エキセナチド投与(2ミリグラム週1回)
C(比較対照):インスリンデテミル投与(1日1から2回)
O(アウトカム):HbA1c≦7.0かつ減量≧1.0キログラム達成率に差があるか?
I(治療):徐放型エキセナチド投与(2ミリグラム週1回)
C(比較対照):インスリンデテミル投与(1日1から2回)
O(アウトカム):HbA1c≦7.0かつ減量≧1.0キログラム達成率に差があるか?
研究方法
デザイン:無作為化比較試験
盲検化:なし
追跡期間:26週,追跡率99%,割り当て治療遂行率88%
盲検化:なし
追跡期間:26週,追跡率99%,割り当て治療遂行率88%
結果
徐放型エキセナチド群はインスリンデテミル群よりアウトカム達成率が有意に高く,HbA1c低過度・減量度それぞれも有意に大きかった.消化器系副作用は徐放型エキセナチドのほうが頻度が高かった.両群とも重篤低血糖は発生しなかった.
アウトカム | 徐放型エキセナチド | インスリンデテミル | p値 |
---|---|---|---|
HbA1c≦7.0かつ減量≧1.0kg達成率 | 44.10% | 11.40% | <0.0001 |
HbA1c変化 | -1.30% | -0.88% | <0.0001 |
体重変化 | -2.7kg | +0.8kg | <0.0001 |
コメント
血糖コントロール改善と減量を同時に評価した点で斬新であり臨床的意義がある.しかし,以下の点でこの研究は妥当性・正確性が低く,結果を相当に割り引いて解釈する必要がある.
- 著者7人のうち4人が徐放型エキセナチドの製薬会社員である(所属・COI・役割・研究資金源は記載されている)
- データ誤記が目立つ(表2の低血糖件数:インスリンデテミル群(母数105人)の「SU使用者」と「SU非使用者」の人数はそれぞれ5人,1人でありながら,付記されている括弧内の頻度が前者7%,後者3%となっている,等)
- 長期的アウトカム不明(第3相試験ではあるが,他の多くの研究で開始半年後から体重増加を認める)