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Comparative effectiveness of sulfonylurea and metformin monotherapy on cardiovascular events in type 2 diabetes mellitus: a cohort study.
最終更新日:2013年4月8日
タイトル
糖尿病治療第一選択薬としてのSU薬単剤はメトホルミン単剤よりも総死亡・大血管症のリスクが高い可能性がある
著者
Roumie CL, et al.
掲載誌
Ann Intern Med. 2012 ;157:601-10.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者):薬物療法を開始した2型糖尿病患者(アメリカ人253690人・年齢中央値64歳・男性96%・HbA1c中央値 7.1%・BMI中央値31・大血管症既往72%)
I(治療):SU薬(グリベンクラミド・グリピジド)投与
C(比較対照):メトホルミン単剤投与
O(アウトカム):複合エンドポイント(総死亡・大血管症による入院)に差があるか?
I(治療):SU薬(グリベンクラミド・グリピジド)投与
C(比較対照):メトホルミン単剤投与
O(アウトカム):複合エンドポイント(総死亡・大血管症による入院)に差があるか?
研究方法
デザイン:後ろ向きコホート研究
盲検化:なし
追跡期間:最長5.5年間,propensity-scoreマッチング総161296人(64%)
盲検化:なし
追跡期間:最長5.5年間,propensity-scoreマッチング総161296人(64%)
結果
薬剤投与中止・変更や腎機能悪化のために追跡を中止した結果,メトホルミン群の追跡期間(中央値)は0.78年,SU薬群は0.61年であった.単剤初期治療としてはSU薬群のほうがメトホルミン群より総死亡・大血管症のリスクが高かった.サブグループ解析としてグリベンクラミド・グリピジドともに同様の結果であった.また,propensity-scoreマッチングによる解析後も同様の結果であった.
アウトカム | 調整ハザード比 | 95%信頼区間 | 調整リスク差 | 95%信頼区間 |
---|---|---|---|---|
総死亡・大血管症 | 1.21 | 1.13から1.30 | 2.2/1000人年 | 1.4から3.0 |
大血管症 | 1.15 | 1.06から1.25 | 1.2/1000人年 | 0.5から2.1 |
コメント
本研究は,2型糖尿病の第一選択薬として実薬同士を比較した点で臨床的意義が大きい.多くの2型糖尿病では血糖コントロールのために複数薬が必要となることも同時に示された.メトホルミンの有効性があらためて示されたが,本研究ではプラセボ群がないため,SU薬が無投薬よりも予後を悪化させるとはいえない.本研究の対象者は白人男性が大多数であったが,同様の結果が中国人の2次予防でも認められている(*).
しかしながら,propensity-scoreマッチングは統計学的に妥当性は高いものの単剤投与期間が非常に短いため臨床的妥当性が不明であること,confounding by(treatment)indicationを完全には排除できないこと,リスク差(絶対リスク増加)は僅少であることなどから本結果の一般化は困難であろう.
しかしながら,propensity-scoreマッチングは統計学的に妥当性は高いものの単剤投与期間が非常に短いため臨床的妥当性が不明であること,confounding by(treatment)indicationを完全には排除できないこと,リスク差(絶対リスク増加)は僅少であることなどから本結果の一般化は困難であろう.
備考
(*) Hong J, et al. Diabetes Care. 2012 Dec 10. [Epub ahead of print]