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Hyperbaric oxygen therapy facilitates healing of chronic foot ulcers in patients with diabetes.
最終更新日:2013年11月15日
タイトル
高圧酸素療法により慢性足潰瘍の治癒率が高まる
著者
Londahl M, et al
掲載誌
Diabetes Care. 2010;33:998-1003.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者): 慢性足潰瘍のある糖尿病(Wagnerグレード2~4・3ヶ月以上持続・1型33%・平均年齢69歳・平均HbA1c約8%)
I(治療):高圧酸素療法(49人・1回85分・週5回・8週間)
C(比較対照):高圧大気(45人・1回85分・週5回・8週間)
O(アウトカム):治癒率は高まるか?
I(治療):高圧酸素療法(49人・1回85分・週5回・8週間)
C(比較対照):高圧大気(45人・1回85分・週5回・8週間)
O(アウトカム):治癒率は高まるか?
研究方法
デザイン:無作為化比較試験
盲検化:あり
追跡期間:1年間・追跡率100%・治療中断率43%
盲検化:あり
追跡期間:1年間・追跡率100%・治療中断率43%
結果
高圧酸素療法は治癒率を有意に高めた.有害事象は2群間で差がなかった.
アウトカム | 高圧酸素療法 | プラセボ(高圧大気) | p値 |
---|---|---|---|
治癒 | 52% | 29% | 0.03 |
死亡 | 2.00% | 6.70% | - |
肢趾切断 | 14% | 11% | - |
コメント
足潰瘍の治療として高圧酸素療法の有効性が示唆されているが,過去の臨床研究は対象者が少なかったり潰瘍が軽症であったりしたため結果の妥当性が高くなかった.プラセボ(高圧大気)と無作為化比較(盲検)している点で本研究は注目に値する.
ただし,治療中断率が高いこと,両群間で有害事象に差がなかったとはいえ中耳気圧障害が6%も生じたこと,コスト評価が不明であること,特に日本では高圧チャンバーがかなり限定されていることなどから臨床的意義や実用性に関してはまだ問題が多い.
ただし,治療中断率が高いこと,両群間で有害事象に差がなかったとはいえ中耳気圧障害が6%も生じたこと,コスト評価が不明であること,特に日本では高圧チャンバーがかなり限定されていることなどから臨床的意義や実用性に関してはまだ問題が多い.