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Long-term effects of pioglitazone in Japanese patients with type 2 diabetes without a recent history of macrovascular morbidity.
最終更新日:2015年10月1日
タイトル
ピオグリタゾンによる大血管症予防は無効(日本人)
著者
Kaku K, et al.
掲載誌
Curr Med Res Opin. 2009;25:2925-32.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者):日本人2型糖尿病患者 (平均HbA1c7.6%・平均年齢58歳・男性63%・陳旧性大血管症既往8%)
I(治療):ピオグリタゾン(15-45mg/day)投与 +通常療法(293人)
C(比較対照):ピオグリタゾンを含まない通常療法(294人)
O(アウトカム):大血管症発症率は減るか?
I(治療):ピオグリタゾン(15-45mg/day)投与 +通常療法(293人)
C(比較対照):ピオグリタゾンを含まない通常療法(294人)
O(アウトカム):大血管症発症率は減るか?
研究方法
デザイン:無作為化比較試験
盲検化:PROBE法
追跡期間:2.5~4年間・追跡率:100%・ピオグリタゾン中断率:23%
盲検化:PROBE法
追跡期間:2.5~4年間・追跡率:100%・ピオグリタゾン中断率:23%
結果
ピオグリタゾンは大血管症発症率を低下させなかった。死亡率はピオグリタゾン群の方が高率であった。追跡期間中のHbA1cはピオグリタゾン群のほうが0~1%低値であった。
アウトカム | ピオグリタゾン投与 | ピオグリタゾン非投与 | ハザード比 | 相対リスク |
---|---|---|---|---|
大血管症 | 3.56% | 4.49% | 有意差なし | 有意差なし |
死亡 | 1.00% | 0.30% |
コメント
本研究は,日本人糖尿病での大血管症予防効果を検証した無作為化比較試験である点で臨床的意義が大きい.妥当性の点では,二重盲検でない点と服薬中断率が高値である点で割り引いて読む必要がある.
高リスク者である欧州人を対象に行われた大血管症2次予防試験(PROACTIVE: *)ではピオグリタゾンによる予防効果は否定されたが,低リスク者である日本人でもピオグリタゾンによる大血管症予防効果(1次・2次予防)は認めず死亡率は増加した.国内外の介入研究や複数のメタアナリシス(**)でピオグリタゾンによる大血管症予防効果は現時点では実証されていない.
高リスク者である欧州人を対象に行われた大血管症2次予防試験(PROACTIVE: *)ではピオグリタゾンによる予防効果は否定されたが,低リスク者である日本人でもピオグリタゾンによる大血管症予防効果(1次・2次予防)は認めず死亡率は増加した.国内外の介入研究や複数のメタアナリシス(**)でピオグリタゾンによる大血管症予防効果は現時点では実証されていない.
備考
(*)http://www.ncgm-dmic.jp/public/articleInfoDetail.do?articleInfoId=438
(**)注意! JAMA掲載(2007;298:1180-8)のメタアナリシスは妥当性が極めて低いために除外
(**)注意! JAMA掲載(2007;298:1180-8)のメタアナリシスは妥当性が極めて低いために除外