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A comparative evaluation of amitriptyline and duloxetine in painful diabetic neuropathy: a randomized, double-blind, cross-over clinical trial.
最終更新日:2013年8月29日
タイトル
アミトリプチリンとデュロキセチンは有痛性糖尿病神経障害に対し同等の治療効果を有する
著者
Kaur H, et al.
掲載誌
Diabetes Care. 2011;34:818-22.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者):有痛性糖尿病神経障害を合併したインドの2型糖尿病患者(58人・平均年齢53歳・男性47%・平均HbA1c 8.2%)
I(治療):アミトリプチリン10-50mg/日(就寝前投与)
C(比較対照):デュロキセチン20-60mg/日(就寝前投与)
O(アウトカム):症状改善に差があるか?
I(治療):アミトリプチリン10-50mg/日(就寝前投与)
C(比較対照):デュロキセチン20-60mg/日(就寝前投与)
O(アウトカム):症状改善に差があるか?
研究方法
デザイン:クロスオーバー試験
盲検化:あり
追跡期間:各6週間(wash-out2週間),追跡率100%,治療中断率11%
盲検化:あり
追跡期間:各6週間(wash-out2週間),追跡率100%,治療中断率11%
結果
両治療とも,治療開始前と比較し有意な疼痛軽減を認めた.
副作用としては,口渇がアミトリプチリンで有意に高率であったが,他に有意な差はなかった.
デュロキセチンの方を好む患者が多かったが,有意差はなかった.(48% vs 36%, p=0.18).
副作用としては,口渇がアミトリプチリンで有意に高率であったが,他に有意な差はなかった.
デュロキセチンの方を好む患者が多かったが,有意差はなかった.(48% vs 36%, p=0.18).
疼痛コントロール | アミトリプチリン | デュロキセチン | 有意差 |
---|---|---|---|
良好 | 59% | 55% | 有意差なし |
中等度 | 21% | 24% | 有意差なし |
軽度 | 9% | 15% | 有意差なし |
コメント
アミトリプチリンは三環系抗うつ薬,デュロキセチンはセロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害剤(SNRI)である.
両者ともうつ病だけでなく,有痛性糖尿病神経障害治療薬(DPN)として使用される(*).
DPN治療薬としてはエビデンスレベルの高さに基づき,プレガバリンが第1選択薬として推奨され,アミトリプチリンとデュロキセチンは抗けいれん薬とともに第2選択薬として推奨されている(**).薬剤間の優劣を直接比較した研究はこれまでなかった点で本研究は斬新である.
本研究では比較的少人数対象でありアウトカム評価が主観的であるものの,クロスオーバー試験であるため妥当性は低くはないが大規模研究での新旧薬剤効果の比較が待たれる.
両者ともうつ病だけでなく,有痛性糖尿病神経障害治療薬(DPN)として使用される(*).
DPN治療薬としてはエビデンスレベルの高さに基づき,プレガバリンが第1選択薬として推奨され,アミトリプチリンとデュロキセチンは抗けいれん薬とともに第2選択薬として推奨されている(**).薬剤間の優劣を直接比較した研究はこれまでなかった点で本研究は斬新である.
本研究では比較的少人数対象でありアウトカム評価が主観的であるものの,クロスオーバー試験であるため妥当性は低くはないが大規模研究での新旧薬剤効果の比較が待たれる.
備考
(*)現在日本では両剤ともDPNに対する保険適用はない.
(**)Neurology 2011;76:1758-65
(**)Neurology 2011;76:1758-65