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Use of twice-daily exenatide in Basal insulin-treated patients with type 2 diabetes: a randomized, controlled trial.
最終更新日:2012年12月11日
タイトル
基礎インスリンにエクセナチドを追加することにより低血糖・体重増加を防ぐことができる
著者
Buse JB, et al.
掲載誌
Ann Intern Med. 2011;154:103-12.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者):インスリングラルギン使用中でコントロール不良の2型糖尿病患者(多国籍・男性53%・平均年齢59歳・平均HbA1c8.4%・平均体重94kg・平均インスリン使用量0.5単位/kg)
I(治療):エクセナチド追加投与(10μg1日2回):138人
C(比較対照):プラセボ追加投与(1日2回):123人
O(アウトカム):到達HbA1cに差はないか?
I(治療):エクセナチド追加投与(10μg1日2回):138人
C(比較対照):プラセボ追加投与(1日2回):123人
O(アウトカム):到達HbA1cに差はないか?
研究方法
デザイン:無作為化比較試験
盲検化:あり
追跡期間:30週・追跡率98%・中断率19%(両群同等)
盲検化:あり
追跡期間:30週・追跡率98%・中断率19%(両群同等)
結果
エクセナチド群のHbA1c低下度はプラセボ群よりも高値であった.プラセボ群では体重増加を認めたがエクセナチド群では体重が有意に低下した(両群差も有意).エクセナチド群ではインスリン使用増加度も低値であった.低血糖(25% vs. 29%)などの重篤有害事象頻度は同等であったが,エクセナチド群では消化器症状(吐き気41% vs. 8%・嘔吐18% vs. 4%・下痢18% vs. 8%・便秘10% vs. 2%)や頭痛(14% vs. 4%)の頻度が高かった.
アウトカム | エクセナチド群 | プラセボ群 | 両群間差(95%信頼区間) | p値 |
---|---|---|---|---|
HbA1c低下度 | -1.74% (-1.91~-1.56) | -1.04% (-1.22~-0.86) | -0.69% (-0.93~0.46) | <0.001 |
体重変化 | -1.78kg (-2.48~-1.08) | 0.96kg (0.23~1.70) | -2.74kg (-3.74~-1.74) | <0.001 |
インスリン使用量変化 | 13単位/kg (6~17) | 20単位/kg (16~20) | -6.2単位/kg (-0.10~0.00) | 0.03 |
コメント
インスリン分泌能の低下している場合は,インスリン補充とGLP-1アナログの併用が合理的である(註:GLP-1アナログはインスリンの代替薬ではない).グラルギンの1日1回注射継続と比較し,エクセナチド追加は注射回数は増えるものの,短期間ではより良い血糖コントロールが得られることが示された(現在日本では保険適用なし).しかも低血糖頻度は増加せず,インスリン使用中で体重が減少する点では臨床的に斬新であり,長期投与での結果が待ち望まれる.
この結果解釈にあたっては,まず研究期間が短いことに気をつける,さらに短期間でありながら頻回注射や副作用のためか治療中断率が高いので,長期投与では効果が減少する可能性が低くない.
この結果解釈にあたっては,まず研究期間が短いことに気をつける,さらに短期間でありながら頻回注射や副作用のためか治療中断率が高いので,長期投与では効果が減少する可能性が低くない.