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Use of Dipeptidyl Peptidase-4 Inhibitors and the Reporting of Infections: A Disproportionality Analysis in the World Health Organization VigiBase.

最終更新日:2011年3月7日

タイトル

DPP-4阻害薬により感染症リスクが増加する可能性がある

著者

Willemen MJ, et al.

掲載誌

Diabetes Care. 2011;34:369-74.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者): WHOの医薬品副作用データベースに登録されている糖尿病治療薬服用患者 (98カ国・副作用総数305415件・平均年齢60歳・男性40%)
I(治療):DPP-4阻害薬単剤服用(8083件)
C(比較対照):ビグアナイド薬単剤服用(21763件)
O(アウトカム):感染症のリスクは増加するか?

研究方法

デザイン:nested case-control研究(全106469報)
盲検化:詳細不明
追跡期間:詳細不明

結果

DPP-4阻害薬服用者では感染症の報告は報告副作用全体の3%であったが,報告オッズ比はビグアナイド服用者より有意に高かった。特に上気道感染症の報告オッズ比が高値であった.
アウトカムDPP-4阻害薬
単剤服用
ビグアナイド薬
単剤服用
報告オッズ比95%信頼区間
感染症 242件 289件 2.3 1.9~2.7
上気道感染症 171件 38件 12.3 8.6~17.5

コメント

DPP-4阻害薬は非特異的に免疫系など種々の反応を阻害するため,副作用として感染症のリスクが増加する可能性が当初より懸念されていた.実際,DPP-4阻害薬の無作為化比較試験でも軽症感染症リスク増加が報告されている.本研究ではビグアナイド薬単剤投与と比較し,全感染症,特に上気道感染症のリスクが高値であることが示唆された.
この解析は全世界規模の膨大な実地データベースに基づいているが以下の点に注意する.

  1. 報告件数の解析であるため基礎疾患重症度などの交絡因子の調整が不完全である,
  2. 自発的報告データなのでバイアスが大きい可能性がある,
  3. ビグアナイド薬単剤投与と比較してDPP-4阻害薬以外にチアゾリジン薬やインスリン製剤でも報告感染症オッズ比が有意に高かった,
  4. 感染症リスク増加の機序は不明である:糖尿病そのものによる易感染性や他薬剤副作用の関与の可能性もある,
  5. 副作用に対する監視度は新薬発売後初期に高い.


上記限界はあるものの,副作用に関するEBMではあらゆる種類の研究デザインを重視するため,現時点ではDPP-4阻害薬処方の際は感染症リスク増加の可能性を十分念頭に置くべきであろう.

備考

疼痛スコアは最小二乗平均値で評価.各エンドポイントのp値は<0.05(各用量 vs プラセボ)

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