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Metformin use and mortality among patients with diabetes and atherothrombosis.

最終更新日:2011年2月8日

タイトル

メトホルミンはアテローム血栓症既往のある糖尿病患者の死亡率を低下させる可能性がある(日本人を含む)

著者

Roussel R, et al.

掲載誌

Arch Intern Med. 2010;170:1892-9.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者): アテローム血栓症既往のある2型糖尿病患者(総数19691人・日本人1604人・男性65%・平均年齢68歳)
I(治療):メトホルミン服用(7397人・日本人159人)
C(比較対照):メトホルミン非服用(12156人・日本人1445人)
O(アウトカム):死亡率に差があるか?

研究方法

デザイン:前向き観察研究(propensity score調整)
盲検化:なし
追跡期間:平均20ヶ月・追跡率95%

結果

メトホルミン服用者は非服用者と比較して有意に死亡率が低かった.心不全既往者・高齢者・中等度CKD合併者においても死亡率は有意に低下した.
アウトカムメトホルミン服用者 メトホルミン非服用者調整ハザード比 (95%信頼区間)p値
死亡(全体19547人) 4.60% 7.60% 0.76 (0.65~0.89) <0.01
心不全既往者(4010人) 9.50% 15.00% 0.69 (0.54~0.90) 0.006
高齢者(66-80歳10559人) 5.00% 7.90% 0.77 (0.62~0.95) 0.02

コメント

メトホルミンは肥満西洋人において大血管症一次予防効果が実証されている唯一の糖尿病治療薬であり,他に予防効果(一次・二次とも)が実証されている糖尿病治療薬はまだない.この研究によりメトホルミンは中等度の有意な二次予防効果を持ち,日本人にも適用できる可能性が示唆されたことや一般に投与禁忌とされる心不全患者や高齢者(超高齢者を除く)でも効果がある可能性が示唆されたことは臨床的意義が大きい.
この前向き研究はpropensity scoreで調整され,擬似無作為化比較試験として妥当性が高いが,解釈に際し以下の点に注意する.観察研究であるため関連性は証明されても因果関係は完全には究明できない,追跡期間が短い,全死亡率しか評価していない(厳密な意味での大血管症再発予防効果は不明),サブグループ解析結果は仮説提唱に留まる.

備考

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