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Selective vitamin D receptor activation with paricalcitol for reduction of albuminuria in patients with type 2 diabetes (VITAL study): a randomised controlled trial.
最終更新日:2011年2月8日
タイトル
パリカルシトール(選択的ビタミンD受容体作動薬)は2型糖尿病のアルブミン尿を減少させない
著者
de Zeeuw D, et al.
掲載誌
Lancet. 2010;376:1543-51.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者): アルブミン尿に対しAECIまたはARBを服用している2型糖尿病患者(男性69%・平均年齢64歳・平均HbA1c 7.5%・平均尿中アルブミン-クレアチニン比1087mg/gram・平均eGFR 40)
I(治療):パリカルシトール投与(1μg/day93人・2μg/day95人)
C(比較対照):プラセボ(93人)
O(アウトカム):尿中アルブミン-クレアチニン比は減少するか?
I(治療):パリカルシトール投与(1μg/day93人・2μg/day95人)
C(比較対照):プラセボ(93人)
O(アウトカム):尿中アルブミン-クレアチニン比は減少するか?
研究方法
デザイン:無作為化比較試験
盲検化:あり
追跡期間:24週・追跡率98%・中止率22%
盲検化:あり
追跡期間:24週・追跡率98%・中止率22%
結果
パリカルシトール2μg/day群は1μg/day群より減少率が大きかったが一次エンドポイント(パリカルシトール1μg/day・2μg/day群併合解析)に有意差はなかった.24時間尿中アルブミン排泄量(二次エンドポイント)は28%有意に低下した(p=0.009).
アウトカム | パリカルシトール1μg/day・2μg/day併合 | プラセボ | パリカルシトール1μg/day・2μg/day併合vsプラセボ | 95%信頼区間 / p値 |
---|---|---|---|---|
尿中アルブミン-クレアチニン比 | -16% | -3% | -15% | -28~1% / p=0.071 |
コメント
尿中アルブミン量は心血管疾患のリスク評価に有用であり,糖尿病腎症に対するACEIやARB投与は腎機能だけでなく予後も改善することが実証されている.他薬剤としてはアボセンタン(エンドセリン拮抗薬)の効果が期待されていたが副作用のためにその臨床研究は中断されている.ビタミンD製剤は骨代謝だけでなくレニン-アンギオテンシン系・炎症・アルブミン尿にも関与していることが判明しており糖尿病腎症進展抑制効果も想定されている.
しかし本研究では一次エンドポイントで有意差を認めなかった.二次エンドポイントでは有意差を認めたが二次エンドポイントは所詮オマケであり,大きく割り引いて解釈する必要がある.また,追跡期間が短い点やGFR測定や家庭血圧測定も実施されたなかった点で一般性に限界がある.
しかし本研究では一次エンドポイントで有意差を認めなかった.二次エンドポイントでは有意差を認めたが二次エンドポイントは所詮オマケであり,大きく割り引いて解釈する必要がある.また,追跡期間が短い点やGFR測定や家庭血圧測定も実施されたなかった点で一般性に限界がある.