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Metformin suppresses colorectal aberrant crypt foci in a short-term clinical trial.

最終更新日:2012年5月30日

タイトル

メトホルミンは直腸結腸癌の発症を予防する可能性がある(日本人)

著者

Hosono K, et al.

掲載誌

Mol Carcinog. 2010;49:662-71.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者):異常腺窩巣(aberrant crypt foci:ACF)を有する非糖尿病患者(日本人・年齢67歳・男性91%・平均BMI24)
I(治療):メトホルミン250mg/日投与(9人)
C(比較対照):無治療(14人)
O(アウトカム):結腸大腸癌の発症は低下するか?

研究方法

デザイン:無作為化比較試験
盲検化:なし
追跡期間:1ヶ月・追跡率88%

結果

メトホルミン群の個人ACF数の平均値は著明に低下したが無治療群では有意な変化がなかった。メトホルミン群では結腸上皮の増殖性細胞核抗原指数(proliferating cell nuclear antigen index)は有意に低下し、正常直腸上皮のアポトーシスを起こした細胞指標に変化はなかった。メトホルミンによる副作用は出現しなかった。
アウトカム要素メトホルミン群投与前メトホルミン群投与後(前後比較p値)無治療群基礎値無治療群追跡値(前後比較p値)
個人異常腺窩巣(ACF)数平均 8.78±6.45 5.11±4.99 (p=0.007) 7.23±6.55 7.56±6.75 (p=0.609)
結腸上皮の増殖性細胞核抗原指数 60±10 40±5 (p<0.001)    
正常直腸上皮のアポトーシス指標 2.2±1% 2.0±0.8 (p=0.561)    

コメント

メトホルミンに発癌抑制効果があることは数々の観察研究や動物実験で示されているが介入試験で実証されたことはなかった。このパイロット研究は、メトホルミンの癌予防効果を実証した初の臨床介入試験である。以下の限界があり妥当性は高くはないものの、非糖尿病患者にてのメトホルミンの発癌予防効果はメトホルミンの直接作用を示す。さらに二次エンドポイントの結腸上皮の増殖性細胞核抗原指数や正常直腸上皮のアポトーシス指標により癌予防効果の可能性が裏付けられる。
 ただし、少人数・短期間の内視鏡的代用エンドポイントを検証しているため、長期的臨床効果は不明であることが限界点である。糖尿病患者を含めた長期大規模介入試験での確証が待ち望まれる。

備考

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