メニューにジャンプ コンテンツにジャンプ

トップページ > 医師・医療スタッフの方へ > EBM論文情報

The use of metformin in type 1 diabetes: a systematic review of efficacy.

最終更新日:2011年2月8日

タイトル

メトホルミンにより1型糖尿病のインスリン使用量が減少する

著者

Vella S, et al.

掲載誌

Diabetologia. 2010;53:809-20.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者):1型糖尿病患者
(平均HbA1c 7.6~9.4%・平均年齢16~48歳・計231人)
I(治療):メトホルミン内服(1700~2550mg/日)
C(比較対照):プラセボ内服
O(アウトカム):HbA1c・インスリン使用量に差があるか?

研究方法

デザイン:メタアナリシス(5件)
盲検化:二重盲検
追跡期間:3~12ヶ月・追跡率68%

結果

インスリン使用量はメトホルミン群で有意に減少したがHbA1cには有意差がなかった。体重は減少傾向にあった。低血糖リスクはメトホルミン群で増加傾向にあった。乳酸アシドーシスの報告はなかった。
アウトカムメトホルミン vs プラセボp値
インスリン使用量 -6.6単位/日 <0.001
HbA1c -0.11% 0.42

コメント

1型糖尿病の病態にはインスリン抵抗性が関与するという報告があり、1型糖尿病患者にもメタボリックシンドロームを高率に合併していることが知られている。しかし、1型糖尿病に対するメトホルミンの使用については、一定の結論に達しておらず、日本では1型糖尿病に対する保険適応はない。今回のメタアナリシスはインスリン使用量は有意に減少したものの、血糖コントロールの差は認められず、低血糖が増加する傾向が認められた。血糖コントロールに有意差が見られなかったのは、両群ともインスリン使用量の自己調節によってコントロール目標値まで到達できたからであり、メトホルミンによって少量のインスリンで同程度のコントロールが得られるようになるとも解釈できる。
 しかし、1型糖尿病においては、メトホルミンによる心筋梗塞などの大血管症の発症抑制効果も実証されていない。さらに、1型糖尿病患者は糖尿病性ケトアシドーシスのリスクを有するため、乳酸アシドーシスの副作用があるメトホルミンの使用については十分に吟味する必要があり、有用性を検証するためには、長期的で大規模なランダム化比較試験が実施される必要がある。

備考

このページに関するアンケート

Q1 あなたの年代を教えてください。
Q2 あなたの性別を教えてください。
Q3 あなたと「糖尿病」のかかわりを教えてください。
Q4 このページの情報は分かりやすかったですか?
Q5 このページに対するご意見をお聞かせください。

個人のご病気などについてのご質問やご連絡先などの個人情報に関するご記載はしないでください。こちらにご記載頂いた内容についてはご返答致しません。予めご了承ください。