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Intensive insulin therapy prevents the progression of diabetic microvascular complications in Japanese patients with non-insulin-dependent diabetes mellitus: a randomized prospective 6-year study.
最終更新日:2011年2月8日
タイトル
インスリン強化療法は日本人の糖尿病網膜症・腎症の発症・進展を抑制する
著者
Ohkubo Y, et al.
掲載誌
Diabetes Res Clin Pract. 1995;28:103-17.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者):インスリン使用中の2型糖尿病患者(日本人)
(平均HbA1c(JDS値)9.2%・平均年齢49歳・男性45%)
I(治療):インスリン強化療法(空腹時血糖値<140mg/dl・食後血糖値<200mg/dl・HbA1c(JDS値)<7.0%目標・55人)
C(比較対照):インスリン従来療法(空腹時血糖値<140mg/dl目標・55人)
O(アウトカム):糖尿病網膜症・腎症・神経障害の発症・進展のリスクは減少するか?
(平均HbA1c(JDS値)9.2%・平均年齢49歳・男性45%)
I(治療):インスリン強化療法(空腹時血糖値<140mg/dl・食後血糖値<200mg/dl・HbA1c(JDS値)<7.0%目標・55人)
C(比較対照):インスリン従来療法(空腹時血糖値<140mg/dl目標・55人)
O(アウトカム):糖尿病網膜症・腎症・神経障害の発症・進展のリスクは減少するか?
研究方法
デザイン:無作為化比較試験
盲検化:なし
追跡期間:6年間・追跡率:93%
盲検化:なし
追跡期間:6年間・追跡率:93%
結果
一次予防対象者・二次予防対象者はそれぞれ55人ずつであった。強化療法群vs従来療法群の到達血糖コントロールはそれぞれHbA1c(JDS値)7.1 vs 9.4%、
空腹時血糖値126 vs 164mg/dlであった(有意差あり)。
一日インスリン使用量は0.36 vs 0.44 単位/体重(kg)でありBMI増加は両群とも約7%であった。
糖尿病網膜症・腎症の発症(一次予防)・進展(二次予防)は有意に低下したが神経障害に関しては神経伝達速度の有意な改善を認めるだけであった。深刻な有害事象は両群とも認めなかった。
空腹時血糖値126 vs 164mg/dlであった(有意差あり)。
一日インスリン使用量は0.36 vs 0.44 単位/体重(kg)でありBMI増加は両群とも約7%であった。
糖尿病網膜症・腎症の発症(一次予防)・進展(二次予防)は有意に低下したが神経障害に関しては神経伝達速度の有意な改善を認めるだけであった。深刻な有害事象は両群とも認めなかった。
アウトカム | 強化療法群 | 従来療法群 | ハザード比 | 95%信頼区間/p値 |
---|---|---|---|---|
網膜症 | 13.40% | 38.00% | 0.31 | 0.13~0.87/p=0.007 |
腎症 | 9.60% | 30.00% | 0.3 | 0.11~0.86/p=0.005 |
大血管症 | 1.3/100人年 | 0.6/100人年 |
コメント
この研究は、小規模(対象者が110人と設定された根拠は記載されていない)ながらも2型糖尿病の細小血管症に対する介入研究として臨床的意義が大きい。ただし、従来療法群での血糖コントロールが悪い点にデザインや管理の上での疑問が残る。
日本糖尿病学会のガイドラインでは、この研究に基づいて細小血管症(大血管症ではない)予防の観点から治療目標値を設定している。
大血管症に関しては、日本人は罹患率が低いことと、この研究の検出力が小さいことから評価不能である。
日本糖尿病学会のガイドラインでは、この研究に基づいて細小血管症(大血管症ではない)予防の観点から治療目標値を設定している。
大血管症に関しては、日本人は罹患率が低いことと、この研究の検出力が小さいことから評価不能である。
備考
海外誌掲載であるが、HbA1cはJDS値(国際標準値より0.4%低い)であることに注意。