トップページ > 医師・医療スタッフの方へ > EBM論文情報
Effects of long-term fenofibrate therapy on cardiovascular events in 9795 people with type 2 diabetes mellitus (the FIELD study): randomised controlled trial.
最終更新日:2011年2月8日
タイトル
フェノフィブラートは糖尿病患者の冠動脈疾患のリスクを低下させない
著者
FIELD study investigators.
掲載誌
Lancet. 2005;366:1849-61.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者):スタチンを服用していない2型糖尿病患者(年齢50-75歳・男性63%・心血管疾患既往22%・平均LDL-C 119mg/dl・平均中性脂肪153mg/dl)
I(治療):フェノフィブラート200mg/日投与(4895人)
C(比較対照):プラセボ投与(4900人)
O(アウトカム):冠動脈疾患の発症は低下するか?
I(治療):フェノフィブラート200mg/日投与(4895人)
C(比較対照):プラセボ投与(4900人)
O(アウトカム):冠動脈疾患の発症は低下するか?
研究方法
デザイン:無作為化比較試験
盲検化:あり
追跡期間:平均5年・追跡率97%
盲検化:あり
追跡期間:平均5年・追跡率97%
結果
約6%の対象者がスタチン追加投与された。冠動脈疾患の発症率は2群間で有意差を認めなかった(一次エンドポイント)。
アウトカム要素 | フェノフィブラート | プラセボ | ハザード比 (95%信頼区間) | p値 |
---|---|---|---|---|
冠動脈疾患発症率(一次エンドポイント) | 5.20% | 5.90% | 0.89 (0.78-1.05) | 0.16 |
死亡(二次エンドポイント) | 14.20% | 12.90% | 1.11(0.95-1.29) | 0.18 |
コメント
この研究は一次エンドポイントで有意差を認めなかったネガティブスタディである。二次エンドポイント・サブグループ解析・後付け解析で有意差を認めた項目があることが報告されているが、いずれも仮説探求にすぎずオマケとして大きく割り引いて読むことが必要である。仮説を実証するのは一次エンドポイントだけである。さらに、研究デザインそのものは妥当性が高いものの、研究開始前に設定された一次エンドポイントが研究開始後に変更されている(=後出しジャンケン)ために妥当性は低下し読む価値も減少する。このような一次エンドポイントすり替え研究は「日本発のエビデンス」にも特に多いので気をつける。