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Rimonabant for prevention of cardiovascular events (CRESCENDO): a randomised, multicentre, placebo-controlled trial.
最終更新日:2012年5月30日
タイトル
リモナバントにより自殺が増加する
著者
Topol EJ, et al.
掲載誌
Lancet. 2010;376:517-23.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者):血管疾患リスクの高い多国籍患者
(平均年齢64歳・男性64%・平均BMI33.1)
I(治療):リモナバント20mg/日(9381人)
C(比較対照):プラセボ(9314人)
O(アウトカム):血管イベントのリスクは減少するか?
(平均年齢64歳・男性64%・平均BMI33.1)
I(治療):リモナバント20mg/日(9381人)
C(比較対照):プラセボ(9314人)
O(アウトカム):血管イベントのリスクは減少するか?
研究方法
デザイン:無作為化比較試験
盲検化:あり
追跡期間:平均13.8週(早期中止)・追跡率100%
盲検化:あり
追跡期間:平均13.8週(早期中止)・追跡率100%
結果
リモナバント投与群で自殺増加を認めたため、早期中止となった。血管イベント発生率は2群間で有意差を認めなかった。消化器症状・精神疾患全体もリモナバント群で高率に発症した。
アウトカム | リモナバント群 | プラセボ群 | ハザード比 | 95%信頼区間/p値 |
---|---|---|---|---|
血管イベント | 3.90% | 4.00% | 0.97 | 0.81~1.12/p=0.68 |
自殺数 | 4 | 1 | - | - |
精神疾患全体 | 32.30% | 21.40% | - | - |
コメント
この研究はリモナバント群での自殺者増加のため早期中止となった。短期間(当初の追跡機間予定は33週間)のためエンドポイントの妥当な評価は不可能であるが、血管疾患予防傾向は認めなかった。
内在性カンナビノイド受容体遮断は肥満を改善し、中性脂肪・HDL-C・血糖等の代謝要素も改善することから血管イベントを抑制することが期待されていた。一方、神経精神系への影響も危惧されており、わずかではあるが深刻な副作用(自殺)増加のためにこの研究は早期中止となった。臨床研究全般の設計・実施・監査を見直す上でも倫理的意義が大きい。
内在性カンナビノイド受容体遮断は肥満を改善し、中性脂肪・HDL-C・血糖等の代謝要素も改善することから血管イベントを抑制することが期待されていた。一方、神経精神系への影響も危惧されており、わずかではあるが深刻な副作用(自殺)増加のためにこの研究は早期中止となった。臨床研究全般の設計・実施・監査を見直す上でも倫理的意義が大きい。