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Pioglitazone, vitamin E, or placebo for nonalcoholic steatohepatitis.

最終更新日:2012年5月30日

タイトル

ピオグリタゾンはNASH(非アルコール性脂肪性肝炎)を改善しない

著者

Sanyal AJ, et al.

掲載誌

N Engl J Med. 2010;362:1675-85.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者):NASH(生検診断)を有する非糖尿病患者(平均年齢46歳・男性40%)
I(治療):ピオグリタゾン30mg/日投与(80人)
C(比較対照):プラセボ投与(83人)
O(アウトカム):NASHの組織像は改善するか?

研究方法

デザイン:無作為化比較試験
盲検化:あり
追跡期間:96週・追跡率93%

結果

約87%の対象者が投与前後の肝生検を受けた。組織像の改善率はピオグリタゾン群とプラセボ群で有意差がなかった。同時に比較したビタミンE(800IU/日)群は有意に改善を認めた。ピオグリタゾン・ビタミンE群ともAST・ALTは有意に低下した。
アウトカム要素ピオグリタゾンプラセボp値(<0.025で有意*)
組織像総改善率 34% 19% 0.04
体重増加 4.7kg 0.7kg <0.001

コメント

NASH(nonalcoholic steatohepatitis)は肝硬変に進展する可能性の高いが、有効な治療薬は現時点ではない。NASHはインスリン抵抗性・高血糖・肥満などとの関連性が高いことから、インスリン抵抗性改善作用を有するピオグリタゾンや抗酸化作用を持つビタミンEの効果が期待されてきていたが信頼性の低い小規模研究しかなかった。
この研究ではピオグリタゾンにより肝逸脱酵素値の有意な低下を認めたものの、組織像(gold standard)では有意な改善がなかった。現時点でのbest available evidenceとして、ピオグリタゾンのNASH改善効果は認められない。また、代用エンドポイント(血液検査値)は真のエンドポイント(組織像)と必ずしも合致しないことにも着目したい。

備考

*同時に2つのエンドポイントを比較検定する場合、有意水準は0.05ではなく2で割った0.025となる(Bonferroniの補正)。

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