トップページ > 医師・医療スタッフの方へ > EBM論文情報
Efficacy of cholesterol-lowering therapy in 18,686 people with diabetes in 14 randomised trials of statins: a meta-analysis.
最終更新日:2011年2月8日
タイトル
コレステロール低下療法は糖尿病患者の心血管イベントを減少させる
著者
Cholesterol Treatment Trialists' (CTT) Collaborators
掲載誌
Lancet. 2008;371:117-25.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者): 2型糖尿病患者(2型17220人・1型1466人・平均年齢63歳・男性67%・心血管疾患既往37%)
I(治療):スタチン投与
C(比較対照):プラセボまたは他療法
O(アウトカム):心血管イベントは減少するか?
I(治療):スタチン投与
C(比較対照):プラセボまたは他療法
O(アウトカム):心血管イベントは減少するか?
研究方法
デザイン:メタアナリシス(無作為化比較試験14件)
盲検化:あり・なし混在
追跡期間:平均4.3年
盲検化:あり・なし混在
追跡期間:平均4.3年
結果
追跡期間中に3247件イベントが発生した。全心血管イベント・主要冠動脈イベント・冠動脈再建術・脳卒中の発生はいずれも有意に低下した。
全死亡はLDL-コレステロール38mg/dl低下ごとに9%ずつ低下したが、全体としては有意な低下を認めなかった。
なお、各低下率は非糖尿病患者での低下率とほぼ同等であった。
全死亡はLDL-コレステロール38mg/dl低下ごとに9%ずつ低下したが、全体としては有意な低下を認めなかった。
なお、各低下率は非糖尿病患者での低下率とほぼ同等であった。
アウトカム | スタチン群 | 対照群 | リスク比 | 95%信頼区間 |
---|---|---|---|---|
全心血管イベント | 15.60% | 19.20% | 0.79 | 0.72~0.86 |
主要冠動脈イベント | 8.30% | 10.50% | 0.78 | 0.69~0.87 |
全死亡 | 11.00% | 11.90% | 0.91 | 0.82~1.01 |
コメント
糖尿病では心血管イベントが非糖尿病の数倍に増加することが報告されている。
スタチン投与により両者において相対的にほぼ同等のイベント抑制効果が認められたが、ベースラインの罹患率が高い分、糖尿病ではスタチンによるイベントの絶対的減少も大きくなり、臨床的有効性も増す。
糖尿病での全死亡に有意差が認められなかった(非糖尿病群では有意)理由として、糖尿病では心血管イベント以外の死因(がん・感染症等)も大きいことの可能性が挙げられる。
スタチン投与により両者において相対的にほぼ同等のイベント抑制効果が認められたが、ベースラインの罹患率が高い分、糖尿病ではスタチンによるイベントの絶対的減少も大きくなり、臨床的有効性も増す。
糖尿病での全死亡に有意差が認められなかった(非糖尿病群では有意)理由として、糖尿病では心血管イベント以外の死因(がん・感染症等)も大きいことの可能性が挙げられる。