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Thiazolidinediones and fractures in men and women.
最終更新日:2011年2月8日
タイトル
チアゾリジン薬は骨折を増加させる
著者
Dormuth CR, et al.
掲載誌
Arch Intern Med. 2009;169:1395-402.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者): カナダの2型糖尿病患者 (平均年齢59歳・男性57%)
I(治療):チアゾリジン薬服用(ピオグリタゾン3596人・ロシグリタゾン6880人)
C(比較対照):スルホニル尿素(SU)薬服用(73863人)
O(アウトカム):骨折のリスクは増加するか?
I(治療):チアゾリジン薬服用(ピオグリタゾン3596人・ロシグリタゾン6880人)
C(比較対照):スルホニル尿素(SU)薬服用(73863人)
O(アウトカム):骨折のリスクは増加するか?
研究方法
デザイン:コホート研究
盲検化:なし
追跡期間:平均服用期間460日(チアゾリジン薬)・534日(SU薬)
盲検化:なし
追跡期間:平均服用期間460日(チアゾリジン薬)・534日(SU薬)
結果
チアゾリジン服用者では骨折リスクが有意に増加した。特にピオグリタゾン服用者では末梢骨骨折の増加が著明であった。
アウトカム | ピオグリタゾン服用 | SU薬服用 | 相対リスク | 絶対リスク増加 |
---|---|---|---|---|
全骨折 | 2.6/100人年 | 2.0/100人年 | 調整ハザード比 1.51(95%信頼区間 1.25~1.84)p<0.001) | 0.6/100人年 |
末梢骨骨折 | 2.2/100人年 | 1.5/100人年 | 調整ハザード比 1.68(95%信頼区間 1.36~2.08)p<0.001) | 0.7/100人年 |
コメント
チアゾリジン薬(ピオグリタゾン・ロシグリタゾン)により主に骨融解が促進して骨折のリスクが増加することが多くの介入研究(*,**)・観察研究・メタアナリシスで示されている。また、チアゾリジン薬による骨折増加は投与開始後約1年以降に顕性化することが示唆されている。この研究は前向きの妥当性が高い研究ではあるが観察研究であるため交絡因子を完全には排除できない。絶対的なリスク増加はわずか(年間100人中約1件)ではあるが、糖尿病患者が急増していること、服薬が長期にわたること、骨折は全死亡のリスクを高めることから、この副作用は臨床的にインパクトが大きい。なお、アメリカのアクトス(ピオグリタゾン)の添付文書には骨折増加リスクの警告が記載されている。
備考
(*)Dormandy JA, et al. Secondary prevention of macrovascular events in patients with type 2 diabetes in the PROactive Study (PROspective pioglitAzone Clinical Trial In macroVascular Events):a randomised controlled trial. Lancet 2005;366:1279-89.
(**)Nissen SE, et al. Comparison of pioglitazone vs glimepiride on progression of coronary atherosclerosis in patients with type 2 diabetes: the PERISCOPE randomized controlled trial. JAMA. 2008;299:1561-73.
(**)Nissen SE, et al. Comparison of pioglitazone vs glimepiride on progression of coronary atherosclerosis in patients with type 2 diabetes: the PERISCOPE randomized controlled trial. JAMA. 2008;299:1561-73.