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Effectiveness of sensor-augmented insulin-pump therapy in type 1 diabetes.
最終更新日:2014年6月13日
タイトル
持続血糖測定機能を搭載したインスリンポンプは1型糖尿病の血糖コントロールを改善する
著者
Bergenstal RM, et al.
掲載誌
N Engl J Med. 2010;363:311-20.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者):1型糖尿病患者
(平均HbA1c 8.3%・平均年齢32歳・男性57%)
I(治療):持続血糖測定機能を内装したインスリンポンプ(244人)
C(比較対照):インスリン注射(241人)
O(アウトカム):血糖コントロールは改善するか?
(平均HbA1c 8.3%・平均年齢32歳・男性57%)
I(治療):持続血糖測定機能を内装したインスリンポンプ(244人)
C(比較対照):インスリン注射(241人)
O(アウトカム):血糖コントロールは改善するか?
研究方法
デザイン:無作為化比較試験
盲検化:なし
追跡期間:1年・追跡率:96%
盲検化:なし
追跡期間:1年・追跡率:96%
結果
持続血糖測定器と連動したインスリンポンプ使用の方が血糖コントロール・目標血糖値達成率とも優れていた。重篤な低血糖発症率には差がなかった。体重増加に有意差を認めなかった。
アウトカム | 持続血糖測定器連動インスリンポンプ群 | インスリン注射群 | 差 | p値 |
---|---|---|---|---|
HbA1c変化 | -0.80% | -0.20% | -0.60% | <0.001 |
HbA1c<7.0% 達成率 | 27% | 10% | 17% | 0.001 |
重篤低血糖発症率 | 13.3/100人年 | 13.5/100人年 | -0.2/100人年 | 0.6 |
コメント
持続血糖測定器やインスリンポンプは近年日本でも注目されるようになってきた。本試験では、1台で両機能を備えた器械の1型糖尿病に対する治療の有用性・安全性が検証された。結果として通常の皮下注射よりも有効性が高いことが示されたが、血糖測定器/インスリンポンプ使用群は通院頻度が高かったため血糖微調整がしやすかった(皮下注射群も同じ通院頻度なら効果も同様だったかもしれない)という可能性の分を割り引いて読む。また、この解析では持続血糖測定器とインスリンポンプどちらの影響が大きかったかは判定できない。
このシステムでは血糖測定とインスリン投与が完全に自動化されているのではなく、あくまでも患者自身の理解と技能が重要となる。さらに、インスリンポンプ導入適用条件同様、患者本人の意欲・技能・理解だけでなく治療スタッフの体制も重要であるため、この治療法を一概に普及させることは容易ではない。QOLの評価も重要となるであろう。
このシステムでは血糖測定とインスリン投与が完全に自動化されているのではなく、あくまでも患者自身の理解と技能が重要となる。さらに、インスリンポンプ導入適用条件同様、患者本人の意欲・技能・理解だけでなく治療スタッフの体制も重要であるため、この治療法を一概に普及させることは容易ではない。QOLの評価も重要となるであろう。