メニューにジャンプ コンテンツにジャンプ

トップページ > 医師・医療スタッフの方へ > EBM論文情報

Trends in incidence of diabetes in pregnancy and serious perinatal outcomes: a large, population-based study in Ontario, Canada, 1996-2010.

最終更新日:2016年1月27日

タイトル

妊娠中の糖尿病は増加傾向にある(カナダ)

著者

Feig DS, et al.

掲載誌

Diabetes Care. 2014;37:1590-6.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(対象者):カナダ・オンタリオ州の妊婦(15-50歳,総数1109605人,調査期間西暦1996-2010年)
I(条件):妊娠前および妊娠中に糖尿病を指摘された女性
C(比較対照):非糖尿病妊婦
O(アウトカム): 糖尿病妊婦数の推移および重篤な周産期合併症との関連

研究方法

デザイン:コホート研究

結果

追跡期間中に妊娠中の糖尿病は倍増した(年齢調整後).先天性奇形率は低下し周産期死亡率は不変であるが両者のリスクは糖尿病合併者のほうが有意に高い.
統計学的有意差のある項目妊娠中に糖尿病と診断妊娠前に糖尿病と診断
罹患率(1996年/2010年) 2.7 / 5.6% 0.7 / 1.5%
先天性奇形(相対リスク) 1.26 1.86
周産期死亡 - 2.33

コメント

2型糖尿病患者の発症年齢が若年化するにつれ、妊娠可能年齢の女性の耐糖能異常の合併率も増加傾向にある。以前の研究では、母体のHbA1c値と児の先天奇形発症率は比例関係にあり(N Engl J Med. 1981; 304 : 1331-1334)、さらに、糖尿病の診断に至らない軽度の耐糖能障害であっても、周産期合併症のリスクは血糖値と比例して上昇する(N Engl J Med. 2008; 358: 1991-2002)ことが既に示されている。本研究では血糖コントロール状態の情報がないのが欠点である.
本研究では妊娠中の糖尿病の定義が異なる(*)ため現在の日本の状況に当てはめることはできないが、日本における妊娠糖尿病の診断基準と同様の研究では、GDM母体より出生した児でHFD(heavy for gestational age)児が有意に高頻度であったことも示されており(Diabetologia. 2001; 54: 1670-1675)、著者らが述べているよう、挙児希望のある女性においては妊娠前からの血糖コントロールへの介入と、糖尿病に至っている症例に対しては速やかな血糖値の正常化、特に厳格な血糖コントロールが必要とされるであろう.

備考

*日本では妊娠中の耐糖能障害は、妊娠糖尿病(gestational diabetes mellitus; GDM)、妊娠中に発見された明らかな糖尿病(overt diabetes in pregnancy)、糖尿病合併妊娠の3つに分類されている。

このページに関するアンケート

Q1 あなたの年代を教えてください。
Q2 あなたの性別を教えてください。
Q3 あなたと「糖尿病」のかかわりを教えてください。
Q4 このページの情報は分かりやすかったですか?
Q5 このページに対するご意見をお聞かせください。

個人のご病気などについてのご質問やご連絡先などの個人情報に関するご記載はしないでください。こちらにご記載頂いた内容についてはご返答致しません。予めご了承ください。