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High reprint orders in medical journals and pharmaceutical industry funding: case-control study.
最終更新日:2014年3月17日
タイトル
製薬企業がスポンサーである研究は論文別刷数が多い
著者
Handel AE, et al.
掲載誌
BMJ. 2012 Jun 28;344:e4212. doi: 10.1136/bmj.e4212.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(対象):肥満ノルウェー人(総数49人,男性20%,糖尿病30%,平均年齢43歳,平均HbA1c6.5%平均BMI45)
I(case):別刷り数最多レベル論文(トップ20位)
C(対照):同分野の別刷り数最少レベル論文
O(アウトカム):部数とスポンサーの関連性はあるか?
I(case):別刷り数最多レベル論文(トップ20位)
C(対照):同分野の別刷り数最少レベル論文
O(アウトカム):部数とスポンサーの関連性はあるか?
研究方法
デザイン:case-control研究
方法:英米の主要医学誌編集部への質疑
方法:英米の主要医学誌編集部への質疑
結果
JAMA(米),Lancet(英),N Engl J Med(米), Ann Internal Med(米), BMJ(英)誌のうち,LancetとBMJが応じ,姉妹誌の情報も提供された(計7誌).7誌の別刷り数(中央値)は300から126350部であった,部数の多い論文は製薬企業がスポンサーとなっている確率が有意に高かった.なお,各誌にとって別刷り料金が大きな収入源(中央値£4002から287353)である.
スポンサー | 別刷り数最多レベル群 | 別刷り数最少レベル群 | オッズ比 | 信頼区間 |
---|---|---|---|---|
製薬企業のみ | 13% | 1.70% | 8.64 | 5.06から14.68 |
製薬企業とその他の混合 | 11% | 3.80% | 3.72 | 2.43から5.70 |
コメント
製薬企業がスポンサーの臨床研究では出版バイアスがあったり,情報操作があったりすることが少なくないことが指摘されている(*).本研究はさらに出版社による出版バイアスを定量的に追究した点が斬新である.対応した医学誌がイギリスだけであり,しかも別刷りによる収入も自誌に開示した点も興味深い.バイアスは計算調整できないため,論文読者は審美眼を鍛え,情報を鵜呑みにしないように気をつけたい.
備考
* http://www.ncgm-dmic.jp/public/articleInfoDetail.do?articleInfoId=462