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Quantification of harms in cancer screening trials: literature review.
最終更新日:2014年3月17日
タイトル
癌検診に関する論文では害についての記載がほとんどない
著者
Heleno B, et al.
掲載誌
BMJ. 2013 Sep 16;347:f5334. doi: 10.1136/bmj.f5334(PubMedへリンクします。)
臨床問題
癌検診に関する介入研究で,害についてどの程度報告されているか?
研究方法
デザイン:癌検診に関するRCTのシステマティックレビュー
結果
198件がレビューされた.害について定量分析されていたのは偽陽性4%,過剰診断7%,精神・社会的悪影響9%,身体的後遺症19%,侵襲的処置47%,全死亡60%,有害事象による参加中止2%であった.
コメント
2型糖尿病では癌リスクが高く,エビデンスに支持された癌検診を受けるよう患者指導することが推奨されている(*).一般に,癌に関わる予後を改善するは予防に加えて早期発見・早期治療が重要である.早期発見については,検査の検出率や受診者の生存率に重点を置いた研究論文が多い.しかし,検診によって恩恵を受ける人がいる反面,過剰診断という誤診やそれに伴う過剰治療の弊害について言及している論文は多くはない.本研究はそのような情報・出版に関するバイアスを定量化した点で臨床的意義が大きい.検査・治療を選択する際はベネフィットだけでなく害や予後にも目を向けて判断することが重要であることがあらためて指摘された.
備考
*「糖尿病と癌に関する委員会報告」http://www.jds.or.jp/common/fckeditor/editor/filemanager/connectors/php/transfer.php?file=/uid000025_63616E6365725F616E645F64696162657465735F7265706F72742E706466