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Baseline factors associated with glycemic control and weight loss when exenatide twice daily is added to optimized insulin glargine in patients with type 2 diabetes.

最終更新日:2012年12月11日

タイトル

インスリングラルギンとエキセナチドの併用には,中等度肥満があり糖尿病罹病期間が長い症例が適している可能性がある

著者

Rosenstock J, et al

掲載誌

Diabetes Care. 2012;35:955-58.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者):インスリングラルギン使用中でコントロール不良の2型糖尿病患者(多国籍・男性53%・平均年齢59歳・平均HbA1c8.4%・平均体重94キログラム・平均インスリン使用量0.5単位/キログラム)
I(治療):エクセナチド追加投与(10μg1日2回):138人
C(比較対照):プラセボ追加投与(1日2回):123人
O(アウトカム):血糖コントロールと体重減少に関連する要因は何か?

研究方法

デザイン:無作為化比較試験
盲検化:あり
追跡期間:30週・追跡率98%・中断率19%(両群同等)

結果

エキセナチド群ではベースラインのHbA1c値に関わらずプラセボ群よりHbA1c低下度・減量度が大きかった.さらに,エキセナチド群ではBMIが中等度で,糖尿病罹病期間が長い症例でHbA1cの低下度が大きかった.また,エキセナチド群では糖尿病罹病期間が長いほど減量度が大きかった.
最大変化群の範囲ベースラインHbA1c(%)罹病期間(年)BMI
HbA1c低下 >8 差なし 30から36
減量 差なし >15 30から36

コメント

ベースラインのHbA1cが高い方がHbA1cの低下量が増すと報告されているが、本研究でも同様の結果を認めた。罹病期間が長く、β細胞が減少していることによってインクレチン製剤の効果は減弱すると一般に考えられていたが、本研究ではむしろ糖尿病罹病期間が9年以上のエキセナチド群で効果が強かった。体重減少に関しては、ベースラインのHbA1cが高い、BMIが中等度、罹病期間が長いほうがより効果の差が明らかとなった。以上から、インスリングラルギンとエキセナチドを併用する場合、中等度肥満があり糖尿病罹病期間が長い症例が適していることが示唆され、エキセナチドは罹病期間が短い症例ほど効果が強いという既存の認識に対して疑問を投げかける結果となった点で臨床的意義が大きい。
しかしインスリングラルギンを併用することを前提としており、エキセナチド単独での予測因子を評価したわけではない。現在の日本の保険適応下では両者の併用は認められていないため注意が必要である。また先行研究(*)には短期間であること、ベースライン時点ての両群の性別や併用薬剤、HbA1c値に不均衡があったこと等が研究の限界として挙げられており、さらに本研究は後付け解析であるため、解釈は十分に吟味する必要がある。

備考

(*)Ann Intern Med. 2011;154:103-12.(http://www.ncgm-dmic.jp/public/articleInfoDetail.do?articleInfoId=459)

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