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Effect of Adding Systematic Family History Enquiry to Cardiovascular Disease Risk Assessment in Primary Care: A Matched-Pair, Cluster Randomized Trial.
最終更新日:2012年4月9日
タイトル
系統的な家族歴聴取により心血管リスク評価の正確度が高まる
著者
Qureshi N, et al.
掲載誌
Ann Intern Med. 2012;156:253-262.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(対象者):英国の家庭医療医の担当患者(総数748人年齢30-65歳・男性44%)
I(介入):系統的な家族歴聴取法
C(比較対照):通常の聴取法
O(アウトカム): 心血管高リスク者の割合は影響されるか?
I(介入):系統的な家族歴聴取法
C(比較対照):通常の聴取法
O(アウトカム): 心血管高リスク者の割合は影響されるか?
研究方法
デザイン:無作為比較試験(Matched-Pair, Cluster Randomized Trial)
回答率:98%
回答率:98%
結果
家族歴無評価での高リスク者は介入群12.6%,対照群10.1%であった.家族歴の加味により,高リスク者は介入群で4.8%,対照群で0.3%増加した.両群の再分類率差は統計学的に有意であった.
検査特性 | 介入群 | 対照群 | 両群差(95%信頼区間) | p値 |
---|---|---|---|---|
再分類率増加 | 4.8 | 0.3 | 4.5 (1.7から7.2) | 0.007 |
コメント
糖尿病に限らず,遺伝子診断による心血管疾患の発症リスク評価の付加価値は現時点では極めて低い.本研究は横断的検証であるため臨床的予後は直接評価できないが,診療の基本の一つであるlow-techで安価な系統的家族歴聴取の有用性を示した点で臨床的にも医学教育的にも意義が大きい.診療の基本は医療面接と診察であることを再認識したい.また,本研究は家庭医療医の患者が対象となっているため,結果の一般性・普遍性も高い.効率化を目指した聴取法や評価法(電子カルテへの応用など)の更なる研究が切望される.