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Impact of Coronary Computed Tomographic Angiography Results on Patient and Physician Behavior in a Low-Risk Population.

最終更新日:2011年7月4日

タイトル

冠動脈疾患既往のない無症候患者に対する冠動脈CTスクリーニングは大血管症を予防しない(韓国人・糖尿病患者を含む)

著者

McEvoy JW, et al.

掲載誌

Arch Intern Med. 2011 May 23. [Epub ahead of print](PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者):冠動脈疾患既往のない無症候性の韓国人(平均年齢50歳・男性63%・糖尿病患者約8%)
I(条件):冠動脈CTスクリーニング施行(1000人)
C(比較対照):スクリーニングなし(1000人)
O(アウトカム):大血管症の相対リスクはどのくらいか?

研究方法

デザイン:コホート研究
無作為化:なし
追跡期間:18ヶ月年間・追跡率98%

結果

スクリーニング患者のうち215人が陽性であった.冠動脈CT陽性者ではスタチン・アスピリンの処方率や侵襲検査施行率が増加した.各群とも18ヶ月間で1件ずつ大血管症が発症した.
寄与度冠動脈CT陽性冠動脈CT陰性スクリーニングなし
スタチン処方 20% 3% 6%
アスピリン処方 26% 3% 6%
大血管症 1件 0件 1件

コメント

本研究では,無症候性冠動脈疾患の有病率の高さが判明したが,その後の侵襲検査や内服薬投与による大動脈疾患予防は実証されなかった.冠動脈CTは高リスク患者では冠動脈疾患および総死亡の予測に有用である(*)が,無症候性の場合は臨床的予後改善にはつながらない追跡期間が短いという限界があるものの,冠動脈CTは臨床転帰改善のエビデンス(実証)がないまま急速に普及している現状を省みる契機となる点で臨床的意義が大きい.画像診断や高感度CRPなどのマーカー検査は,病歴・身体所見・最善のエビデンスに基づく協働方針決定に取って代われるものでもなくそうあるべきでもない.検査をオーダーする前に検査特性と検査前確率(有病率)などをもとに「検査結果によって方針が変わるか」を必ず問うべきである(**).方針が変わらないような検査はするべきではない.

備考

(*)http://www.ncgm-dmic.jp/public/articleInfoDetail.do?articleInfoId=407
(**)http://www.ncgm-dmic.jp/public/articleInfoDetail.do?articleInfoId=454

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