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Non-fasting lipids and risk of cardiovascular disease in patients with diabetes mellitus.

最終更新日:2011年7月4日

タイトル

糖尿病患者での大血管症リスク評価には食後脂質データも有用

著者

van Dieren S, et al.

掲載誌

Diabetologia. 2011;54:73-7.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者):冠動脈疾患既往のないオランダ・ドイツの2型糖尿病患者(1337人)
I(条件):食後HDL-C・ LDL-C・中性脂肪高値
C(比較対照):各低値
O(アウトカム):大血管症発症の相対リスクはどのくらいか?

研究方法

デザイン:コホート研究
追跡期間:8年間(平均値)

結果

116人が大血管症を発症した。中性脂肪値は食後経過時間の影響を受けたが他は影響されなかった.寄与度の有意なリスクファクターは低HDL-C血症・高中性脂肪血症であり,食後経過時間とは独立していた.高LDL-C血症の寄与度は有意ではなかった.
寄与度(第1三分位 vs 第3三分位)HDL-CLDL-C中性脂肪
調整ハザード比(95%信頼区間) 0.41(0.23から0.72) 0.89(0.55から1.42) 1.73(1.04から2.87)
調整ハザード比(95%信頼区間):上記をさらに食後経過時間で調整 0.41(0.23から0.72) 0.87(0.55から1.40) 1.79(1.07から2.98)

コメント

近年,食後高中性脂肪血症が大血管症のリスクファクターとして注目されており,空腹時値よりも強いリスクであることが示唆されている(*).しかし測定タイミングなどが標準化されておらず,評価は困難であることが多い.
本研究では中性脂肪値が食後変動することが糖尿病患者でも確認されたが,大血管症リスクファクターとしての寄与度は各脂質とも食後経過時間とは独立していることが示された.そのため,糖尿病患者の大血管症リスクを評価する際は空腹時採血結果でなくても有用であることが示唆される.
研究デザイン上,解釈時に留意すべき点は,対象者層にバイアスが強い可能性がある点(通常のリスクファクターとなる高LDL-C血症の寄与度が有意でない)と中性脂肪低下薬投与による大血管症発症抑制効果は結論できない点である.

備考

(*)JAMA. 2007;298:299-308.

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