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Meta-analysis: Accuracy of contrast-enhanced magnetic resonance angiography for assessing steno-occlusions in peripheral arterial disease.
最終更新日:2011年2月8日
タイトル
MRA(磁気共鳴血管造影)は末梢動脈疾患(PAD)による狭窄・閉塞の評価に有用
著者
Menke J, et al.
掲載誌
Ann Intern Med. 2010;153:325-34.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者): 末梢動脈疾患(閉塞性動脈硬化症)の有症状者(1022人)
I(検査):MRA
C(比較対照):動脈造影
O(アウトカム):内腔50-100%閉塞に対する検査特性(感度・特異度)は?
I(検査):MRA
C(比較対照):動脈造影
O(アウトカム):内腔50-100%閉塞に対する検査特性(感度・特異度)は?
研究方法
デザイン:メタアナリシス(前向き研究32件)
結果
安静時疼痛を伴う臨床的下肢虚血や組織欠損が対象者の26%に認められた。MRAの感度・特異度はともに高値であった。
診断特性 | 感度 | 特異度 | 陽性尤度比 | 陰性尤度比 |
---|---|---|---|---|
下肢末梢動脈の狭窄・閉塞 | 94.70% | 95.60% | 21.56 | 0.056 |
95%信頼区間 | 92.1から96.4 | 94.0から96.8 | 15.70から29.69 | 0.037から0.083 |
コメント
感度と特異度は誤診の指標である。感度は見落としの少なさ、特異度は過剰診断の少なさを示し、いずれも高値であるほど診断性能が高い。尤度比は感度と特異度を一つにまとめたもので、疾患があるときにどの程度検査結果が陽性となりやすいかが陽性尤度比、疾患がないときにどの程度陰性となりやすいかが陰性尤度比である。尤度比は便利だが見落とし・過剰診断という誤診の概念を忘れやすいので気をつける。
MRAは末梢動脈疾患診断時に見落としも過剰診断も少ないことが示された。X線被爆がないことも考慮し、有症状者の診断を付ける上で臨床的有用性は高いであろう。ただし、コストが評価されていないことや無症状者へのスクリーニングの臨床的意義は不明であるため、濫用は避けるべきである。
MRAは末梢動脈疾患診断時に見落としも過剰診断も少ないことが示された。X線被爆がないことも考慮し、有症状者の診断を付ける上で臨床的有用性は高いであろう。ただし、コストが評価されていないことや無症状者へのスクリーニングの臨床的意義は不明であるため、濫用は避けるべきである。