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Glycated hemoglobin, diabetes, and cardiovascular risk in nondiabetic adults.
最終更新日:2011年2月8日
タイトル
HbA1cは非糖尿病者の糖尿病および心血管疾患発症のリスク評価に有用
著者
Selvin E, et al.
掲載誌
N Engl J Med. 2010;362:800-11.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者):非糖尿病のアメリカ人(11,092人・平均年齢57歳・男性58%)
I(条件):HbA1c 5.0-5.5%
C(比較対照):他のHbA1c帯
O(アウトカム):糖尿病・心血管疾患は増加するか?
I(条件):HbA1c 5.0-5.5%
C(比較対照):他のHbA1c帯
O(アウトカム):糖尿病・心血管疾患は増加するか?
研究方法
デザイン:コホート研究
追跡期間:14年間(中央値)・追跡率>80%
追跡期間:14年間(中央値)・追跡率>80%
結果
糖尿病および冠動脈疾患発症のリスクはHbA1c値に応じて直線的に有意に増加した。また、脳梗塞リスクも同様であった。総死亡はJ-カーブを描いた(HbA1c 5.0-5.5%帯が最低値)。
アウトカム | HbA1c 5.0-5.5% | 5.6-6.0% | 6.1-6.5% | >6.5% |
---|---|---|---|---|
糖尿病 | 1 | 1.86(95%CI 1.67から2.08) | 4.48(3.92から5.13) | 16.47(14.22から19.08) |
冠動脈疾患 | 1 | 1.23(1.07から1.41) | 1.78(1.48から2.15) | 1.95(1.53から2.48) |
脳梗塞 | 1 | 1.17(0.89から1.53) | 2.22(1.60から3.08) | 3.16(2.15から4.64) |
コメント
非糖尿病者においてもHbA1c値は心血管疾患発症リスク予測に有用であることが示唆された。また、HbA1cが低すぎると総死亡が増加するという近年の糖尿病介入研究(ACCORD試験)との共通点もある。ただし、この研究は非糖尿病者に対する観察研究であるため、糖尿病治療目標値としてこのデータをそのまま利用することには無理がある。