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Clinical Risk Factors, DNA Variants, and the Development of Type 2 Diabetes.
最終更新日:2012年9月26日
タイトル
遺伝子診断による糖尿病予測の有用性はまだ低い
著者
Lyssenko V, et al.
掲載誌
N Engl J Med 2008;359:2220-32(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(対象者):北欧の成人(総数18831人・平均年齢45歳・男性62%)
I(検査):16のSNP分析を追加(全例)
C(比較対照):臨床的リスクファクター(家族歴・BMI・喫煙・肝機能など)評価(全例)
O(アウトカム): SNP分析no追加によって糖尿病発症予測は改善するか?
I(検査):16のSNP分析を追加(全例)
C(比較対照):臨床的リスクファクター(家族歴・BMI・喫煙・肝機能など)評価(全例)
O(アウトカム): SNP分析no追加によって糖尿病発症予測は改善するか?
研究方法
デザイン:コホート研究
追跡期間23.5年間(中央値)
追跡期間23.5年間(中央値)
結果
糖尿病発症率は11.7%だった。
糖尿病発症予測はわずかに改善したが臨床的付加価値はほとんどなかった。
糖尿病発症予測はわずかに改善したが臨床的付加価値はほとんどなかった。
検査特性 | 臨床的診断 | 遺伝子診断 | p値 |
---|---|---|---|
C statistic | 0.75 | 0.74 | 0.0001 |
再分類率 | - | 9-20% | ≦0.05 |
コメント
研究の妥当性は高い。人種によって臨床的リスクファクターや遺伝子の特徴は異なるのでそのまま日本人に適用できるかは不明だが、ヒトとしては遺伝子よりも臨床的要因のほうがはるかに影響が大きいことが推測される。安価な臨床的ファクター評価の方が有用で遺伝子分析の付加価値がほとんどないのであれば、遺伝子分析を積極的に進める理由はないであろう。