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Prognostic value of coronary computed tomographic angiography in diabetic patients without known coronary artery disease.
最終更新日:2011年2月8日
タイトル
冠動脈疾患既往のない糖尿病患者において、冠動脈CTは冠動脈疾患および総死亡の予測に有用である。
著者
Hadamitzky M, et al.
掲載誌
Diabetes Care. 2010;33:1358-63.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者):冠動脈疾患既往のない2型糖尿病のドイツ人(140人・平均年齢65歳・男性66%)
I(条件):冠動脈CTパラメータ異常あり
C(比較対照):各パラメータ異常なし
O(アウトカム):冠動脈疾患・総死亡の相対リスクはどのくらいか?
I(条件):冠動脈CTパラメータ異常あり
C(比較対照):各パラメータ異常なし
O(アウトカム):冠動脈疾患・総死亡の相対リスクはどのくらいか?
研究方法
デザイン:コホート研究
追跡期間:33ヶ月年間(平均値)・追跡率95%
追跡期間:33ヶ月年間(平均値)・追跡率95%
結果
総死亡5件・不安定狭心症2件発生した。非糖尿病者(1782人)と比較し、このハザード比は3.5(95%信頼区間1.5から8.2)であった。冠動脈CT各パラメーターの中で狭窄病変数(狭窄率25%以上)の相対リスクが最も高く、古典的リスクファクター(尤度比26.2)に追加するとさらに予測精度が向上した(尤度比38.1、p<0.001)。
寄与度 | 狭窄病変数 | 最大狭窄率 | 病変枝数 | カルシウムスコア |
---|---|---|---|---|
ハザード比 | 1.3 | ー | ー | ー |
95%信頼区間 | 1.1から1.7 | 有意差なし | 有意差なし | 有意差なし |
コメント
近年使用度が急増している冠動脈CTの予測性能についての糖尿病患者での系統的分析で、各パラメーターを比較している点で臨床診断的意義が高い。ただし、糖尿病患者を対象とした妥当性の高い研究はほとんどなく、本研究も中規模観察研究であるため妥当性がそれほど高くはないため割り引いて読む必要がある。簡易ではあるが被曝量が大量であることや糖尿病での診断精度の確証がまだないことから、冠動脈CTを古典的リスクファクターを評価せず絨毯爆撃的に施行することは妥当ではない。