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Changes in diabetes-related complications in the United States, 1990-2010.

最終更新日:2014年6月13日

タイトル

糖尿病合併症発症率は著明に低下してきている

著者

Gregg EW, et al.

掲載誌

N Engl J Med. 2014 ;370:1514-23.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者):成人アメリカ人
I(条件):2010年
C(比較対照):1990年
O(アウトカム):合併症(急性心筋梗塞・高血糖関連死・脳卒中・下肢切断・末期腎不全)の発症率に差異があるか?

研究方法

デザイン:横断研究

結果

20年間で成人アメリカ人は約1億7800万人から約2億2600万人に増加した.同時期に糖尿病患者は650万人から2070万人に増加した.糖尿病患者では急性心筋梗塞(-67.8%)・高血糖関連死(-64.4%)・脳卒中(-52.7%)・下肢切断(-51.4%)・末期腎不全(-28.3%)とも発症率は低下した.いずれの低下率も,非糖尿病患者よりも大きかった.国民全体における発症率としては急性心筋梗塞・高血糖関連死の発症率低下を認めたが他の合併症の低下は認めなかった.
合併症相対リスク(糖尿病患者)絶対リスク(糖尿病患者)絶対リスク(国民全体)
急性心筋梗塞 -67.80% -95.6/10000人 -2.7/10000人
高血糖関連死 -64.40% -2.7/10000人 -0.1/10000人

コメント

国民全体における発症率は糖尿病の有病率によって左右されるが,糖尿病有病率は増加しているため国全体としては有合併症者数は依然として減少に転じていないことも判明した.アメリカでの分析だが,糖尿病患者と国民全体での評価をしている点で現実性が高いであろう.
しかし,この低下傾向は糖尿病診療の改善だけによるものとは限らない.例えば,喫煙率の低下など生活習慣改善の影響もあるであろう.また,癌が増加しているために上記合併症が相対的に低下している見かけの変化かもしれない.さらに,厳格な血糖コントロールによる予後不良化の可能性も考慮すると,糖尿病診療のどのファクターが貢献したのかは結論づけられない.

備考

*Annals of epidemiology. 2014;24:83-89

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