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Association of smoking cessation and weight change with cardiovascular disease among adults with and without diabetes.

最終更新日:2013年7月26日

タイトル

禁煙後に体重増加しても大血管症リスクは増えない

著者

Clair C, et al.

掲載誌

JAMA. 2013 Mar 13;309(10):1014-21.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者):Framingham Offspring Cohort登録のアメリカ人(総数3251人・男性48%・年齢48歳・平均BMI26・糖尿病患者11%・喫煙者31%)
I(条件):禁煙
C(比較対照):喫煙継続
O(アウトカム):大血管症のリスクに差異があるか?

研究方法

デザイン:コホート研究
平均追跡期間25年間(11148person-exams)

結果

最終的な喫煙率は13%であった.禁煙期間が4年以内の人は4年以上の人と比較し糖尿病の有無にかかわらず体重増加率が高かった.全体で631件の大血管症が発生した.非糖尿病者では禁煙期間に関わらず大血管症リスクが喫煙者より有意に低く,体重変化でさらに調整してもほぼ同様の結果であった.糖尿病患者では有意差は認めなかったが同様の傾向を認めた.
アウトカム(*有意差あり)喫煙継続禁煙期間≦4年禁煙期間>4年非喫煙者
体重変化(キログラム)/4年(非糖尿病/糖尿病) 1.2* / 0.0 3.0* / 3.8* 0.9* / 0.1 1.2* / 0.5
体重変化も加味した大血管症調整ハザード比(非糖尿病/糖尿病) 1 / 1(基準) 0.49* / 0.49 0.46* / 0.57 0.31* / 0.49

コメント

喫煙は,大血管症リスクの直接のリスクファクターであるだけでなくインスリン抵抗性増悪要因でもあり(1),禁煙により大血管症のリスクが低下する.一般に,禁煙後1年で約5キログラムの体重増加が報告されているが,変化率は個人差が大きく,禁煙後に体重減少する人も16%いる(2).そのため,禁煙後の体重増加に伴う大血管症や糖尿病のリスク増加により,その効果が減少または反転する可能性がある.日本人対象の観察研究では,禁煙後短期間に糖尿病発症リスクが増加することが報告されている(3).本研究は禁煙による大血管症リスク変化と体重増加を長期的に同時検証した点で臨床的に非常に意義が大きい.糖尿病患者では検出力不足のためか有意差を認めなかったが,全般に禁煙後に大血管症リスクは低下し,禁煙によるメリットが体重増加によるデメリットを上回ることが示された(4).また,禁煙後の体重増加は次第に減少していく可能性も示唆された.禁煙効果は体重増加によるデメリットを上回るだけでなく,減量よりも大血管症リスク低下効果が大きい可能性(5)があるため,積極的な禁煙指導が望まれる(6).

備考

(1)Diabetes 2012;61:3156-3166
(2)BMJ 2012;345:e4439
(3)PLoS One. 2012;7(2):e17061
(4)同様の結果が女性対象研究でも報告されている(糖尿病患者でも冠動脈疾患リスクに有意な低下あり)JAMA 2013;310:94-96
(5)Unisysご担当者へ;今回同時にアップロードする総論059のURLを記入してください
(6)禁煙法としては漸減法と中断法の間に成功率の有意差はない Cochrane Database Syst Rev 2012;11:CD008033. また,電子たばこの有用性も報告されている PLoS ONE 8(6):e66317.

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