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Randomized study of basal-bolus insulin therapy in the inpatient management of patients with type 2 diabetes (RABBIT 2 trial).

最終更新日:2012年9月26日

タイトル

一般病棟入院の糖尿病患者の血糖コントロールは,スライディングスケールより固定打ちのほうが優れる

著者

Umpierrez GE, et al.

掲載誌

Diabetes Care. 2007;30:2181-6.(PubMedへリンクします。)

臨床問題

P(患者):一般病棟に入院したインスリン未使用2型糖尿病患者(アメリカ人,総数130人,男性48%,平均年齢56歳,平均HbA1c8.8%)
I(治療):インスリン固定打ち(持効型[basal]1回+超速効型毎食前[bolus]皮下注:65人)
C(比較対照):スライディングスケール(速効型毎食前+眠前各血糖値>140ミリグラム/デシリットル時皮下注:65人)
O(アウトカム):血糖コントロールは改善するか(目標血糖値<140ミリグラム/デシリットル)?

研究方法

デザイン:無作為化比較試験
盲検化:なし
追跡期間:平均5.3日間,追跡率100%

結果

平均インスリン投与量は,固定打ち群で44単位,スライディングスケール群で12.5単位であった.血糖値<140mg/dl達成率は固定打ち群66%,スライディングスケール群38%であった.血糖コントロールは固定打ち群のほうが優れていた.低血糖頻度や入院期間に差はなかった.
アウトカム固定打ち群スライディングスケール群p値
空腹時血糖値(ミリグラム/デシリットル) 147±36 165±41 <0.01
随時血糖値(ミリグラム/デシリットル) 164±35 189±42 <0.001
低血糖件数(<60 40="" ミリグラム="" デシリットル="" td=""> 0.4% / 0% 0.2% / 0% NS / NS

コメント

血糖測定時の血糖値に応じた投与量のインスリンを投与するスライディングスケール(*)は長年にわたって使用されているが,理論的根拠はなく,効果の実証もない.スライディングスケールは血糖変動が予測つかない場合などに一時的に役立つこともあるが,事後反応的で根本的な療法ではない.さらに,全患者が全経過中に同一のインスリン感受性を持つことを前提としていることも問題である.本研究は,先を見越したインスリン固定打ち療法(basal-bolus療法)の優越性(血糖コントロールや臨床アウトカム)を実証した点で臨床的意義が大きい.他の患者層での確証が望まれる(**).

備考

*固定打ち療法やインスリンポンプ療法の通常投与量に,血糖値に応じてインスリンを増量することは「調整」といい,スライディングスケールとは区別する.
**周術期患者を対象とした同様の研究でも有用性が実証されている(Diabetes Care 34:256,2011)

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