トップページ > 医師・医療スタッフの方へ > EBM論文情報
Enhanced glucose control for preventing and treating diabetic neuropathy.
最終更新日:2012年7月10日
タイトル
血糖を厳格に管理しても神経障害のリスクは減少しない可能性がある
著者
Callaghan BC, et al.
掲載誌
Cochrane Database Syst Rev. 2012 Jun 13;6:CD007543.(PubMedへリンクします。)
臨床問題
P(患者):糖尿病患者
I(介入):血糖厳格管理
C(比較対照):従来療法
O(アウトカム):臨床的糖尿病神経障害の発症リスクは低下するか?
I(介入):血糖厳格管理
C(比較対照):従来療法
O(アウトカム):臨床的糖尿病神経障害の発症リスクは低下するか?
研究方法
デザイン:メタアナリシス(無作為化比較試験総17件)
盲検化:なし
追跡期間:1年以上
盲検化:なし
追跡期間:1年以上
結果
総17件中,臨床的アウトカムを1次エンドポイントした研究は1型糖尿病2件,2型4件であった.1型糖尿病では血糖厳格管理により有意に神経障害発症率が低下したが2型糖尿病では有意差を認めなかった.いずれの研究でも血糖厳格管理群では低血糖などの重篤有害事象が有意に増加した.
糖尿病型 | 報告数 | 対象者数 | 年間発症率差 | 95%信頼区間 |
---|---|---|---|---|
1型 | 2件 | 1228人 | -1.84% | -2.56から-1.11% |
2型 | 4件 | 6609人 | -0.58% | -1.17から0.01% |
コメント
糖尿病神経障害の有病率は糖尿病診断時に10%,罹患10年後に40から50%と報告されている.2型糖尿病では血糖を厳格に管理しても細小血管症のリスクは減少しない可能性が示唆されている(*)が,本研究でも2型糖尿病ではその有効性は確証されなかった.2型糖尿病では血圧など他の因子の関与が大きい可能性がある.
本研究は臨床的アウトカムを評価している点で診断妥当性に疑問が残るが,practicalである点で意義がある.
本研究は臨床的アウトカムを評価している点で診断妥当性に疑問が残るが,practicalである点で意義がある.
備考
*Lancet. 2010;376:419-30.